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キャバ嬢が生まれる瞬間(67)〜渋谷に憧れてキャバ嬢になった女〜

三上愛子(仮名・24歳)

 私は岐阜県の出身なんだけど、子供の頃からの憧れの場所はずっと東京の渋谷だった。若者文化の中心であり、情報の発信地でもあるその場所は、テレビや雑誌で幾度となく取り上げられているから、地方の人間にも当たり前のように様々な話題が入ってきた。するとそのうち、田舎だけでこのまま終わりたくないって気持ちが出てきたんだよね。

 あとお兄ちゃんが昔やってたテレビゲームの影響もある。そのゲームの舞台が渋谷だった。それがCGとかで作られたものならば、そこまで感情移入しなかったと思うけど、実写だったことで興味を持った。まだ渋谷には一度も行ってなかったのに、道の名前や有名な建物とかも覚えてしまったし。もちろんそこで描かれることはフィクションなんだけど、渋谷にいったらこんなドラマチックなことが待ち受けてるかもしれないと思うと、早くお金を貯めて上京したい気持ちが強まった。

 それから私は地元でまずお金を貯めるためにキャバクラの世界へ足を踏み入れた。実家暮らしで生活費はかからなかったし、欲しいものも我慢したから、100万円が貯まるのに、そこまで時間はかからなかった。それだけ貯まったら私は上京すると決めていたんだよね。

 そして今年、祐天寺に部屋を借りて渋谷のキャバクラで働きはじめた。キャバ嬢といったら銀座、六本木、原宿とかかもしれないけれど、私は渋谷のキャバクラで働きたいって十代の頃から思っていたから。実際、働いてみて田舎にいた時とはお店の内装から女の子のレベルまで、全然違うけれど、この場所でしばらくがんばっていくつもり。だってやっと憧れの渋谷で生きていくことができるんだから。

(取材/構成・篠田エレナ)

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