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コンピューターゲームの20世紀 第38回『スペースウォー』

<斬新すぎるゲーム性とメーカーロゴ>

 世の中には俗称や通称で呼ばれるゲームが数多く存在するが、この『スペースウォー』ほど正式名称が浸透しなかったゲームはないであろう。

 本作が稼働を開始したのは1979年末。インベーダーブームが終焉を遂げ、「インベーダーハウス」(当時のゲームセンターの俗称)から急激に客の姿が見えなくなった頃である。倒産するゲームセンターも続出し、基板や筐体が市場でだぶつき始め、それら中古のゲームが駄菓子屋に設置されるようになった。それまで大人の遊びであったテレビゲームが子供達に身近になっていった時期でもあるのだ。

 当時主流だったのは固定画面式のシューティングゲーム。本作もまた同ジャンルであるが、他のゲームと一線を画していたのは1対1の対戦型であるということ。画面の上と下に分かれた砲台同士で撃ち合って勝敗を決めるシステムで、1人用のCPU戦の他に2人用の対戦プレイが可能である。また、当時としては珍しく2人用であっても1クレジットでプレイが可能。『スペースインベーダー』の紛い物が氾濫する中で、本作はかなり画期的なゲームであった。そして本作のシステムでもう1つ特徴的なのがエネルギー方式のビーム砲である。砲台から発射されるビームはエネルギーが一定以上溜まっていないと敵まで届かない。エネルギーは時間とともに回復するため、ビームの無駄撃ちは避けなければならないのだ。この要素が対戦プレイにおいて重要な駆け引きになっており、フェイントをかけて敵に無駄なエネルギーを消費させたところを反撃するといった戦法が有効になっている。

 本作には『スペースウォー』という正式名称が存在するのだが、一般的には「カメレオンアーミー」と呼ばれていた。「カメレオンアーミー」とは1978年に発表されたピンク・レディーのヒット曲である。恐らく自機から発射される伸びるビームがカメレオンの舌を連想させ、そこからヒット曲へと結びついたのだと思われる。この俗称は日本全国に広がっており、未だにこのゲームの正式名称がカメレオンアーミーだと思っている人も多い。そして、もう1つ本作の俗称として定着していたのが「レジャック」である。レジャックとは本作を発売したメーカーで、当時コナミが下請けとして様々なゲームの開発を担当していた。本作にはなぜかデモ画面でメーカーロゴと電話番号がデカデカと表示され、これをゲームの名前だと勘違いする人が続出したのである。なぜレジャックが自社のロゴをここまで巨大に表示させたのかは疑問で、まして一般プレイヤーにメーカーの電話番号が必要なはずもない。

 こうして本作は名前が誤解されたまま全国各地に広まっていった。また、当時はヒット作にはコピーゲームがつきものであり、本作にもタイトー販売の『スペースレーザー』、アイレム発売の『スペースビーム』といった模倣品が存在する。ライセンス関係は不明だが、こちらも多く出回っていたためプレイしたことがある人も多いはずだ。ただし、これらは1P専用であるところが残念である。(須藤浩章)

DATA
発売日…1979年
メーカー…レジャック
ハード…アーケード
1979 KONAMI

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