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友成那智 メジャーリーグ侍「007」 メジャーリーガーの見本市WBCは「大谷・菅野」に注目!

 来年3月に第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催される。小久保裕紀監督率いる侍ジャパンは、大会に向けて11月10日から4日間、メキシコ及びオランダ代表チームと強化試合を行い戦闘モードに入る。

 今回の小久保ジャパンには他国のチームにはない強みが存在する一方で、明らかな弱点もいくつかある。

●強み (1)先発投手 (2)機動力 (3)守備力

 最大の強みは先発投手だ。決勝ラウンドに勝ち上がった場合、準決勝が3月20日、決勝は3月22日に行われるため、先発の1・2番手にトップレベルの投手を擁しているチームはがぜん有利になる。小久保ジャパンの先発1・2番手は大谷翔平と菅野智之になる可能性が高い。他国を見回してもこの2人を凌ぐ1・2番手を擁しているところは、どこにもない。
 他に、終盤に1点が欲しい場面で機動力をフルに発揮できる点、センターラインの守備力が高い点も日本の強みといっていい。

●弱点 (1)監督 (2)リリーフ投手 (3)打線の中軸

 最大の弱点は'13年の第3回大会に続き今回も現役日本人大リーガーの参加が見送られ、メジャーの野球に精通した人間が1人もいないチームになったことだ。
 WBCで決勝ラウンドに進出すると、現役メジャーリーガーやマイナーリーガーで固めた北米や中南米のチームと戦うことになる。理に叶った投球フォームで投げる韓国や台湾の投手と異なり、個性的な投球フォームでクセ球を投げ込んでくる投手が多くなる。
 前回大会で日本チームはプエルトリコ投手陣が投げ込む手元で動く速球に対処できず、3対1でよもやの敗戦を喫した。今大会でも、決勝ラウンドに進めば、個性的な投球フォームでクセ球を投げ込む投手と対戦する可能性があるが、メジャー流の投球に精通した人間が不在ということから、4年前と同じことが繰り返されるかもしれない。

 もう一つの弱点は、監督として采配を振るった経験の少ない小久保監督。采配ミスのリスクが付きまとうことだ。昨年11月に行われたプレミア12の準決勝では、1安打ピッチングを続けていた大谷翔平を7回で交代させた後の継投に失敗。それまで仮死状態だった韓国打線を甦らせ、楽勝ムードだった試合で手痛い黒星を喫した。
 その時、厳しい批判にさらされたことで、状況に応じた細かい投手起用ができるようになったと思われるが、肝要なのはギリギリの判断が求められるWBCの本番でそれが出来るかどうかだ。できないようだとマスコミから、またも痛烈な批判にさらされることになるだろう。

 予選ラウンドで、日本代表にとって怖い存在になりそうなのは、選手の大量亡命で戦力ダウンが著しいキューバではなく、前回大会の雪辱に燃える韓国だ。
 第1回大会の韓国は、予選ラウンドで宿敵日本相手に2戦2勝する大健闘。3度目の対戦となった決勝ラウンドでは敗れて順位は3位だったが、大会成績は通算6勝1敗で、勝率だけなら5勝3敗だった日本を凌いでいた。第2回大会でも韓国は予選ラウンドで日本チームと4度対戦し、2勝2敗と健闘。しかし、決勝戦では力及ばず5対3(延長)で敗れ準優勝に終わった。
 このように韓国は第1回、第2回のWBCでは大きな存在感を示したが、前回の第3回大会では初戦でオランダに完封負けしたのが響き1次予選敗退の屈辱を味わった。そのため、今回は何が何でも決勝ラウンドに勝ち進み、日本を倒して優勝カップを手にするつもりだ。
 韓国はモチベーション次第で、実力以上の働きを見せるチームだ。日本も気持ちで闘うタイプの選手が多いので、今回のWBCでは久々に、日韓の死闘が見られるかもしれない。

 日本が決勝ラウンドに勝ち上がった場合、怖いのは有名選手をずらりと揃えた米国代表やベネズエラ代表ではない。この2チームは、選手のモチベーションが低いうえ、まだ調整段階の選手が多いため、くみしやすい相手だ。逆に嫌なのは、戦力では劣りながら士気が高い小国のチームだ。
 その典型が前回大会、日本が準決勝で敗れたプエルトリコ。代表チームが日本に完勝し、準優勝したことは400万のプエルトリコ国民を熱狂させた。優勝が期待される今回は、士気の高さでは群を抜いている。

 だが、日本の最大の敵となるのは、前回優勝のドミニカ共和国だろう。
 前回のWBCで優勝したドミニカでは、国民の間にそれを誇る感情が広がり、第4回大会で連覇を願う声が高くなってる。それに押されて選手のモチベーションも上がっており、ドミニカ・チームはバリバリのレギュラー級を揃えて、パワー野球で勝ち進むつもりだ。それに対抗できるのは大谷、菅野を擁する日本だけ。火花が散る対決が見られるかもしれない。

ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。

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