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「渋井哲也の気ままに朝帰り」現実には「ノルマあり」という厳しさ

 <月曜日か火曜日、あるいは水曜日にお店に来てくれない?>

 いつものように、K嬢(21)から営業メールが来た。特に変わった内容ではないので、普通にスルーしようと思った。しかし、K嬢から電話もかかってきた。

 「どうしたの?」

 「来れないかな?」

 「厳しいなあ」

 「なんで?」

 「なんで、って…」

 「仕事が終わらないの?」

 「そう」

 「最低でも21時半にお店に入れればいいんだけど」

 いつもよりも、切羽詰まった感じがした。そこで、「ノルマなの?」と聞いてみた。すると、「ノルマがあり、今週は誰も捕まらないのだ」という。そのため、「もっと(同伴探しを)頑張りなよ」と励ました。しかし、「本気で捕まらないの。だから、渋井さんに連絡してるんでしょ」と、逆に怒られてしまった。

 このK嬢は、お店を変えたばかりだったはず。しかも、「ノルマがないんじゃなかったっけ?」と思ったので、問いただすと、「やっぱ、ノルマがあった」と。

 詳しい流れは分からないが、K嬢は六本木で「ノルマなし」の店を探していたはずだ。もちろん、「ノルマなし」の店は探せばある。しかし、ノルマがなければ、報酬も下がるのが通例なのだろう。しかし、K嬢は、報酬が下がることを「良し」としないはずだ。だから、結果的に「ノルマあり」の店になったのだろうと推測ができる。

 報酬がよくて、「ノルマなし」という店は見つかるものではない。そもそも、そんな店、あるのかな? あったとして、どんな条件なのだろう、といろいろ考えてしまう。いずれにせよ、K嬢は同伴のノルマが達成できるのだろうか?

 電話の様子では、なかなか厳しいと言っていた。もしかすると、本当に「あて」は私だけなのか? いやいや、「私だけしかない。仕方がないなあ」と思わせるのが、キャバ嬢の営業トークじゃないか。

 どこまでは本当で、どこまでが営業トークなのか分からないのが、夜の世界の会話じゃないか。私が心配しても仕方がない。そのくらい割り切らないと、キャバ譲とは長く付き合えない。私は今回のノルマのクリアする客としては拒否しようと思ったのだ。

 さて、K嬢は今回の「ノルマ」をクリアできるのか。以前、K嬢に、「ノルマがクリアできなければ罰金になるのと、ノルマがクリアされれば、報酬が上がる、という選択があるとすればどっちがいい?」と聞いたことがあった。K嬢は「罰金制。なぜならば、マイナスになるのは避けたいので、罰金制のほうがモチベーションがあがる」と話していた。この回答通り、K嬢のモチベーションは上がったのだろうか?

<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。

【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/

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