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死の登山になる世界遺産「富士山」の大噴火 〜不気味な3つの兆高〜(2)

 前出のサイエン記者がこう話す。
 「実は、富士五湖周辺でもすでに『この地震が噴火の前兆現象ではないか?』との声も出ているのです。ただ、噴火したからといって必ずしもすぐに大爆発するわけではない。宝永の大噴火では200年後、平安時代に起きた貞観の大噴火は、噴火が始まって100年後に起きている。それゆえ、周辺住民らはいつ噴火や大爆発が起きてもいいように、対策を講じておくことが重要です」

 要は、その危機は確実に迫っているというわけだが、気になるのは、富士山が大爆発を引き起こした場合、どんな状況に陥るのかという点だろう。
 前出の木村氏は、「噴火が降灰を伴うものか、溶岩流を伴うものか、現段階で判断するのは難しい」と語るが、仮に溶岩流が発生した場合は富士山の半径15キロが火砕流に呑みこまれるとのデータもある。また、大量の火山灰が偏西風に乗れば、東京にも降り積もることとなるのだ。

 防災に詳しいジャーナリストの村上和巳氏が首都機能の麻痺状況をこう語る。
 「都内は信号機がストップし、交通事故が多発。同時に精密機器が積んである電車、飛行機も動かなくなる。さらに、帰宅困難者が大量発生し、ホテルや会社に寝泊まりする者が激増するが、エアコンやテレビ、パソコンも使用不能。自動ドアやエレベーターも使えない状態となるはずです」

 仮にこの大爆発が酷暑厳しい夏場に起きた場合は、エアコンが利かないため熱中症で倒れる者が続出。さらに救急車が動かないため、阿鼻叫喚の地獄絵図となる可能性も秘めているのだ。
 また、その際には食糧事情も悪化する。
 「火山灰には硫黄が含まれているので、水田や畑に1センチでも降灰したら耕作不可能になります。噴火が長引いて、上空に火山灰が浮遊して日照が遮られ、さまざまな農作物がダメになってしまうのです」(前出・村上氏)

 ちなみに、被災していない地域から食料を届けようにも飛行機や道路が麻痺するため、頼みの綱となるのは海路だけ。「大型スーパーの空調も火山灰をかぶり停止するため、冷蔵・冷凍食品も腐ってしまう」(同)というのである。
 前出のサイエンス記者がこう語る。
 「もしも富士山爆発の際には、関東、甲信越地方は交通、通信、住環境が麻痺する。中でも物資補給に手を焼くのは内陸部で、火山灰に精密機器がやられてしまうため、ヘリコプターすら飛べない状況となるのです。経済的損失は軽く10兆円を超えると見られているが、日本経済が目茶苦茶になることは確実です」

 登山中に爆発したら…それは言うまでもない。

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