友人がTwitterでつぶやいていたのを見て、私は友人に電話をしました。私はそのとき家にいて、ある原稿を書き終わったところでした。「新宿なう」といった書き方は、Twitterに投稿されているときに、「いま何をしている?」といったことへの問いかけでもあります。そのとき、「なう」と書くのが、一つの作法となっているのです。
最近、Twitterが話題になっていますね。そのときの感情や出来事、考えなどを140字にまとめて投稿するミニブログと言われています。が、単純にミニブログ以上に、人と人とをネットワーク化していくことに魅力があるのでしょう。
Twitterと似たようなミニブログサービスは他にもあります。エキサイトのつぶやきやmixi(SNS:ソーシャルネットワークサービスの一つ)のボイスも同じような機能を持っています。また、非モテ(モテない人)専用のピモテといったサービスも出てきました。
「新宿なう」に反応し、友人に電話をしてしまった私ですが、さっそく新宿のバーに飲みに行くようになりました。そのとき、友人のほか、友人の仕事仲間2人もいたので、私にとっては新しい出会いがあったのです。この2人は、私がTwitterをしていなければ出会わなかったかもしれないと考えると、面白い出会いとなったわけです。
インターネットのサービスを見て、新しい仲間と出会い、一緒に飲みに行くといったことは、Twitterだけに限ったことではありません。以前も現在も、mixiの日記などで飲みの誘いがあり、参加したりもしています。こうしたサービスの登場によって、飲みに誘うやり方が多様化していると言っても言いでしょう。
mixiの会員数は、東京都の人口以上になっています。キャバクラ嬢にもmixiをしている人は数多いことでしょう。mixiを利用した営業などもしているキャバ嬢もいたりします。あるとき、知らない女性からメッセージがきて、それがキャバ嬢だったということも何度かあります。日記で、歌舞伎町のことやキャバクラのことを書いているために、検索してきたのでしょう。
インターネットでのコミュニケーションの結果、人と出会い、飲みに行く。こんなことが当たり前になってきています。振り返れば、そんな飲みをして10年ほどが経っています。ニフティ通信や出会い系サイト、Web日記、メールマガジン、メーリングリスト、SNSはそんな機会を提供してくれました。私にとって、そうしたインターネットサービスがなければ、出会わない人、そして一緒に飲みに出かけていないと思う人は数えきれません。
話題のTwitterはどうでしょうか。たしかに、先ほどの例のように、結果として出会った人はいますが、Twitterのユーザーで新しく出会い、一緒に飲みに行った人はまだいません。新たなコミュニケーションツールとして、Twitterが認知されるのかどうかはこれからでしょうが、その一つに新たな出会いの要素が出てくると、もっと一般的な広がりが出てくるのではないかと思っています。
これまで日本では、文通、テレクラ、出会い系サイト、そしてSNSが発展してきたのは、出会いの要素があったからです。また、ビデオが普及し、パソコンが普及したのは、エロの要素が欠かせません。出会いとエロは、一つのツールのユーザーが拡大していくには必要不可欠な要素なのです。
Twitter上でキャバクラの話題が少なからずあります。しかし、キャバ嬢がキャバ嬢としてTwitterでつぶやいたり、営業をしているのはまだ見かけません(しているのかもしれませんが)。今後は、Twitter営業をするキャバ嬢が出てくることでしょう。そんなとき、ブログ上での日記とどう区別するのか、メール営業と何が違うのか、そんなことが問われてくる。
もし、Twitterをしているキャバクラ嬢がいたら教えてください。
<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。
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