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ボーイング787 トラブル続出に潜む3つの謎(1)

 米ボーイング787型機は、自らを“夢の翼”とうたっていた。その理由は炭素繊維の複合材で軽量化を実現し、飛躍的に燃費性能を向上させることに成功したからである。
 しかし、米ボストン・ローガン国際空港で起きた日本航空787型機の出火トラブルや、高松空港に緊急着陸した全日空787型機など、続けざまにヒヤリ事故が発生。世界の航空当局が各航空会社に、運航停止を命じるという事態に発展してしまった。

 このことを受け、国土交通省と米連邦航空局(FAA)は、異常の原因をいずれもリチウムイオン電池と見なし、合同で供給先のジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ=京都市)に立ち入り検査を実施。ところが、ある航空関係者は「一体、あれは何だったのか」と、この検査に対して疑問を呈している。
 GSユアサは三菱の電気自動車『アイ・ミーブ』や、ホンダのハイブリット車『CR-Z』にリチウムイオン電池を供給している。ボーイングの旅客機で初めてリチウムイオン電池を採用したのが787型機で、事故の際にバッテリーの電解液が漏れていたのは事実だ。だからこそ「さてはGSの手抜きか」と色めき立ったのだが、立ち入り検査から1週間後の1月28日、事態は意外な展開を見せる。

 この日の午前で検査が終了すると、国交省航空局の高野滋航空事業安全室長は記者会見で「品質管理上いくつかの報告はあったが、直ちにバッテリー内部で不具合が生じるような問題ではない」と語り、トラブルに直接つながる要因は見つかっていないことから「検査の結果をどう認識するかは今後の話」として、解明作業の長期化を示唆したのである。それを踏まえて前出の航空関係者が喝破する。
 「電池を製造したGSユアサはフランスのタレス社に納入し、タレスが制御システムの独自技術を施してボーイングに納入している。ところが今回、FAAはタレスには見向きもせず、日本の国交省と示し合わせたかのようにGSユアサに疑惑の目を向けた。タレスはフランスを代表する航空宇宙、防衛関連企業で、同業のボーイングに負けず劣らず軍事機密を抱えている。そこへ手を突っ込めば波風が立ち、フランスとの関係が怪しくなる。その点、電池メーカーのGSユアサならば恐れるに足らずと考えたのではないか」

 疑惑の渦中に立ったGSユアサは株価急落の洗礼を浴びた。当局の“シロ会見”を機に株価は回復したとはいえ、この間に個人投資家は散々振り回されたのだから罪作りである。

 第2の謎は、787型機のトラブルが日本の航空会社2社に集中していることだ。前述した以外に、今年に入ってJAL機で2回の燃料漏れ、ANA機ではブレーキの不具合、操縦席窓にヒビ、エンジンからのオイル漏れと、立て続いた。就航から間もないということで、いわゆる“初期不良”の可能性を指摘する専門家もいるが、果たしてこれは偶然なのだろうか。

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