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不況下でFA市場の様変わり

 今季FAの資格を取得する各球団の主力選手が相次いでいる。ロッテ・渡辺俊介、ソフトバンク・川崎宗則、日本ハム・田中賢介、横浜・内川聖一、村田修一。が、かつてのように大争奪戦が起こることはない。世の中の出口の見えない不況を反映したプロ野球界のFA市場は冷え込んでいるからだ。

 川崎に関しては、ソフトバンクが長期契約を提示して引き留める方針を明かし、内川に対しても横浜はシーズン中にもかかわらず、残留工作を始めている。球界バブル全盛のころならば、水面下では巨人を筆頭に他球団も獲得に動き出すところだろう。しかし、今は好条件を手にして残留か、メジャー行きの二者択一しかなくなっているのが現実だ。
 巨人、阪神、中日が金満御三家と言われた時代もあったが、この3球団も例外的な存在ではなくなっている。一昨年、山口鉄也、昨年も松本哲也と2年連続して育成枠から新人王を出した巨人フロント首脳が「育成の巨人軍」を強調しているが、その実体は金欠病だ。「ウチの金庫にだっていつまでもお金が有り余ってあるわけじゃない」という、球団トップの言葉が、嘘偽りのない本音だろう。
 財政状態に余裕があれば、アストロズを解雇され、古巣・ロッキーズとマイナー契約した松井稼頭央、パイレースで出場機会が減り、ピンチを迎えている岩村明憲に食指を動かしているだろう。巨人の最大のウイークポイントは二塁手だからだ。が、ノドから手が出るほど欲しくてもお金がなければ手を出せない。

 何より痛いのはテレビマネーの消失だ。ひとケタの視聴率しか取れないような巨人戦には身内の日本テレビさえ背を向けているのだから、放映権料など全く当てに出来ない。巨人人気全盛時には主催試合にはもちろんすべて1試合1億円を超す放映権料が入ってきた。130試合時代ならば、半分の65試合が主催だから、65億円を超えるテレビマネーが転がり込んできたのだ。それが今は20数試合しか地上波のテレビ中継はしてもらえない。
 当然、他球団主催の巨人戦も同じ運命で、「巨人戦さえあれば、テレビマネーが入るから大丈夫」と左うちわだったセ5球団も財政がひっ迫して青息吐息になっている。巨人戦のテレビマネーを当て込んで交流戦実現を強く迫ったパ6球団も大誤算で頭を抱えている。
 こういう現状では、FA市場が活性化するわけがないだろう。かつて西武からFAした清原和博を巡り、巨人と阪神が大争奪戦を展開。巨人・長嶋茂雄監督の「この胸に飛び込んでこい」と、阪神・吉田義男監督の「縦じまのユニホームを横じまにしてもいい」の名ぜりふは伝説になっている。が、それも球界バブル時代の昔話になってしまった。
 「日本のFAはおかしい。争奪戦で一部選手の年俸を高騰させるだけの制度になってしまっている。本来のFAは出番の少ない選手に対し、他球団に移籍して働き場を与えるのが目的だったはずだ」。FA全盛時代にこう怒ったのは、ソフトバンク・王貞治監督(現球団会長)だが、そういう意味では今のFA市場は正常化されたといえるのかもしれない。

 昨年のFA国内移籍を見ても、阪神で控えだった藤本敦士がヤクルトへ。日本ハムからFA宣言した藤井秀悟は、なかなか買い手が付かず、最後に年俸1000万円ダウンの6000万円で巨人に拾ってもらった。ロッテの控え捕手の橋本も横浜へ働き場を求め、移籍した。王氏の言うとおりの本来のFA市場になっている。ただ問題なのは、球団側の現状認識がまだ甘いことだ。他球団が争奪戦を仕掛ける金銭的な余裕がないのに、引き留めに必要以上の高額な条件を提示するのはばかげているだろう。メジャーへ行く選手は条件に関係なく行くのだから。

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