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60歳無年金時代が到来! 死を待つだけの老後難民の実態(3)

 中小企業に勤めていたHさん(66)。年金額を退職の1年前に社会保険事務所で調べてガックリ。新聞の求人欄で、週3回、夕方5時から朝9時までの病院の夜間警備の職を見つけた。もらえる金額は、東京都の最低賃金(時給850円)を少し超える程度だ。

 バツイチの独り身だが、内縁の妻(夫は死別)がいるというIさん(67)。本人の年金は年95万円。彼女の遺族年金が110万円。遺族年金は妻が再婚すると権利が消滅するため、籍を入れないようにしている。しかし彼女に何もしてやれないヒモのような生活に「捨てられたらどうしよう…」という不安の日々だという。

 大阪在住の大手企業でエリート街道を進んだものの、会社のリストラや企業合併で、本来なら企業年金が年300万円出るはずだったJさんのケース。64歳になり厚生年金の定額部分の受給が始まり、報酬比例部分を合わせて満額需給になった。これが年100万円強。これに老齢基礎年金が約70万円、妻が60歳未満のため総額は200万円に届かない。企業年金の減額分を合わせて年300万円を切っている。それでも夫婦2人で300万円はいい方。月2回は友人たちと飲み会を開き、年に一度は韓国や中国旅行に、オフピークの安い時期を選んで旅行する。これも時間があればできることだ。車は小型車に買い替えた。車くらいないと何かと不便だからだ。

 ヒマつぶしという思いで、シルバー人材センターに登録し、そこから自転車置き場に派遣されたKさん(70)も一流企業からの定年退職組で、派遣先の同僚とは退職金や年金額が1ケタ違う。時給は900円で、1日中座っているだけだから退屈で仕方がない。センターには経理事務や学童の登下校の見守り要員など、見栄えのいい職もあるが、区会議員などにコネがないとまず採用されない。辛いのは、仕事仲間は競馬、パチンコしか興味がなく、会話が全くかみ合わないことだ。Kさんはジャズ演奏が趣味。カラオケに行っても他人の演歌を聞くのが苦痛でしかない。

 57歳でやはり一流企業を早期退社、大手人材派遣会社に登録し、自営業として仕事を請け負う形をとったLさんにも悩みがある。登録者は同じく大手企業の管理職出身者が多く、登録会社のセミナーなどに出た後は飲み会となる。アルコールが嫌いではないLさんは、本来なら楽しいはずなのだが、会はサラリーマン時代の自慢話が飛び交い、中には名刺交換した有名企業経営者などの名刺を見せびらかす人もいる。Lさんは、つくづく不毛の時間だと思っている。

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