08年に熊本大学とハーバード大学のグループと共同で行った研究によると、子どものときに長期にわたって激しい体罰を受けた人は、受けなかった人に比べ、脳の感情などをつかさどる部分が平均で20%近く小さくなっているという研究発表があった。
この研究では4歳から12歳までの間に、親から鞭や手でたたかれるなどの激しい体罰を長期にわたって受けたアメリカ人男女23人の脳を撮影し、人種や生活環境などの条件をそろえたうえで、体罰を受けなかった人の脳と比較。その結果、体罰を受けた人は、受けなかった人に比べると、脳の前頭葉のうち感情や意欲にかかわる部分が平均で19.1%、集中力や注意力にかかわる部分が平均で16.9%が、それぞれ小さくなっていることがわかった。
こうした脳の萎縮は、体罰によるストレスで起きたと考えられるとの事だ。研究結果によると、萎縮が見られた部分は、犯罪の抑制力にかかわる所でもあり、衝動的な行動を起こしたり、キレやすくなったりする可能性が高くなるとのこと。
『ニュートンムック ここまで解明された脳と心のしくみ』(ニュートンプレス刊)という科学雑誌によると「虐待、言葉の暴力、育児放棄など、親からの愛情のない養育をされた幼児は、知的は発達が遅れるだけではなく、身体の成長も遅れる」とのこと。しかし、幼児期のうちに養育者が変わり、愛情豊富な育児に返ると、脳や身体も平均値に戻るという結果も出ている。
(注:決して、知的、身体的な発達が遅れている幼児に、親の虐待があるということではありません)
また『病は気からの科学PART3』(高田明和著 講談社刊)によると、同様な文があり、さらに「長男長女は、次男次女よりも「しつけられる」ことが多く、この「しつけ」が抑制的に働くらしく、身長は、次男次女の方が高くなることが多い」とのこと。
また、子どもの立場を重視して育てると、子どもは反抗的ではなくなり、大人に依存しなくなり、他人に親切で協力的になるという結果も出ている。
放任・甘やかしはどうかと思うのですが、あまりに厳しいしつけは、かえって子どもの発育を阻害するということなのだろう。
(巨椋修(おぐらおさむ)・山口敏太郎事務所)