この巨大氷山の広さは6000平方キロメートルで茨城県の面積相当もあり、これまで記録された中でもトップ10に入る。
「ラーセンC棚氷は南極大陸で4番目に大きな棚氷。2014年にヒビが確認されたため分離の兆候ありとして観察が行われていました。昨年からヒビが急速に拡大していることを確認、今年1月には、数カ月内に分離が起こる可能性ありと発表していました。今後、研究者らは、船舶との衝突などが起きないように追尾していくことになります」(気象ジャーナリスト)
広さに関しては、この氷山より上がある。
「衛星時代に入って観測された過去最大の氷山は面積約1万1000平方キロメートルのもので、都道府県面積6位の秋田県並みでした。この巨大氷山の欠片は6年経ってもニュージーランド付近をウロウロしていました。また1956年には、米海軍の砕氷艦が約3万2000平方キロメートル級の氷山(岩手県二つ分)に遭遇したという報告もありますが、衛星のなかった時代ですから追跡調査が行えませんでした」(サイエンスライター)
心配なのは海面上昇だ。
「グラスの中に水と氷とを入れた場合、氷が溶けてもグラスの水面は上昇しません。これと同じ理由で、溶けたからといって海面が上昇するわけではありません。しかし、原因が何であれラーセンC棚氷は分離前よりも12%も小さくなっており、今回に続いて棚氷が崩壊すれば、背後にある氷河が海へと流れ込む速度が増し、将来的に海面が上昇する可能性もゼロではないという指摘もあります」(同)
ほとんどの研究者は今回の巨大氷山について、直ちに危険と認識する必要はないと言う。しかし、これこそ“氷山の一角”ではないことを祈りたいものだ。