「両者とも候補者には歓迎されていないんだよ。自民党はすでにポスト麻生が云々(うんぬん)され、その名前が浮上していることもあり、街頭のポスターには麻生の顔が入っていないものが出ているなぁ…」
街頭のポスターを眺めながら、街行く人々はこんな話をしている。
現段階では自民党も民主党も、とくに民主党は代表の小沢が大いに幅を利かせていたが、秘書が逮捕されたこともあって、党内から公然と「小沢では選挙は闘えない」という声も、漏れてきている。
そこで急浮上してきたのが岡田克也元代表であり、前原誠司前代表。この2人を候補者のポスターに起用しようという案もある。「小沢よりも無難」というのが、その理由だ。
自民党も麻生と一緒では、「内閣の支持率が下がっているのに、同じポスターに並ぶのは勘弁してください」と拒む候補者が徐々に増えてきている。そこでにわかにクローズアップされたのが小池百合子だ。
「ポスターで小池百合子さんと並ぶのなら、どこへ行っても恥ずかしくない。それにインパクトもあるしね」(立候補予定者)
自民党の“顔”は小池というわけだ。その次なる人物は石原伸晃であり、小渕優子。少子化担当相の小渕は現在第2子を身篭っているのも、縁起がいいというわけで手を挙げる人も多い。
珍現象は都議会議員と組む候補がいること。7月に都議選があるので、その相乗効果に期待してらしい。
「都議選の結果によっては、自分の選挙もノッていけるんです」(前出・立候補予定者)
しかし、そんな選挙前の動きで自民党がもっとも頭を痛めているのが、民主党の小沢の去就だ。もし小沢に何かあって代表に岡田が就任したら、自民党は今以上に立場が悪くなり選挙は完敗を覚悟しなければならないからだ。
自民党有力者の1人は「願わくば小沢のままでいてほしい」と民主党代表が変更されないことを祈っている。
そんな不安材料があるのなら、自民党は総裁を小池にするほうが、より選挙に勝利する方程式になるのではないか。小泉純一郎が、ポスト麻生は小池だ、というようなことを示唆したのは、自民党に勝たせたいという元首相なりの援護射撃なのかもしれない。
同じく元首相の森喜朗は、「慌てずじっくり備えて、ここまで来たのだから、任期いっぱいまで(麻生が)やって解散なんかしなくてもいいのではないか」と語った。自民党の若手の間では、森に対して「時代の読めない人」というレッテルが貼られてもいるが…。
民主党が岡田代表になったら選挙は厳しい、というのが自民党サイドの頭痛の種なのだ。(文中敬称略)