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心霊写真も写ルンです(完)

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画像はイメージです。

 今年で発売30周年を迎え、再び脚光を浴びつつあるレンズ付きフィルムだが、ネットなどでは「霊が写りやすい」との都市伝説でも知られている。多くの都市伝説と同様に、これもまた多感な少年少女の他愛もない噂が発信源とされている。しかし、個人向け物件を扱う都市部の不動産業者でも、同士の内輪話としてほぼ同じ噂が流れていたとされる。

 レンズ付きフィルムには、本当に心霊が写りやすかったのだろうか?

 残念ながら、公開された心霊写真には撮影機材が不明なものも多く、レンズ付きフィルムによる写真が多いかどうか、またその割合などについては判然としない。とは言え、レンズ付きフィルムの構造と使用状況、また「当時の心霊写真ブーム」などを考慮すると、心霊写真を撮りやすいアイテムだったとは言える。

 レンズ付きフィルムはピント合わせも露出制御もできないにも関わらず「ちゃんと撮れる」のだが、それゆえに過信されたり、反対に安価ゆえに雑な扱いを受ける事が多かったのだ。たとえば、レンズやフラッシュに撮影者の指がかぶったり、防水仕様の場合は水滴の汚れなども付着しやすく、そういった写り込みを「心霊」と誤認した事例は多い。さらに、レンズ付きフィルムは画面中央付近のシャープさを確保するため、周辺部の描写を妥協した設計が多く、周辺部の映り込みが「あたかも人魂のように」見えることは少なくなかった。

 その他、自動車の座席など高温環境下への放置などによるフィルムの変質も珍しいことではなく、爆発的なヒット商品となったがゆえの粗雑な扱いもまた、心霊写真伝説を形成する原因のひとつとされる。さらに、サードパーティ製の詰め替えレンズ付きフィルムには使用期限切れフィルムを使用するなど、製品管理に問題があったものも流通しており、これまた色調の異常や人魂状の写り込みにつながっていた。

 また、レンズ付きフィルムが登場した1980年代後半から90年代はじめにかけては心霊写真ブームが過熱し、霊障解呪のお祓い目的の雑な心霊判断も少なくなかった。このようなレンズ付きフィルムの特性と社会状況が相まって、心霊写真が写りやすいとの伝説が生まれたのであろう。

(了)

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