ステージではギターを持った山本のシルエットが映し出され、オープニング曲『ヒトコト』からスタートした。アコースティックギターを持ち、ノリノリのサウンドを聴かせ、スタートから集まったファンを魅了し、あっという間に山本の世界へと引き込んでいった。続いてエレキギターに持ち替えて、自らが作詞・作曲した『レインボーローズ』を歌い、激しいサウンドで突っ走り、みんなが知っているNMB48の山本彩ではなく、カッコイイ山本を見せてくれた。
すでに名古屋・東京・札幌と3公演行っていることで、ソロのステージもしっかり板に付いた感じで、アイドルではなく、ソロのシンガーとしての貫禄が出て来たところもあり、気が付いたら最高にカッコ良くてファンキーなステージを作り上げている。
そんな2曲を歌い終わると、これまでの気合の入った表情から一転して表情が和らぎ、大きな声で「ただいま大阪」と叫び、ツアー終盤でようやく地元に帰ってきた安心感もあってか、これまでのツアーで見せたことのないような最高の笑顔を見せてくれた。
ソロツアーということで、アルバムからの楽曲がメインとなっているが、NMB48を知らない人でも、その世界観は伝わり、山本の人間力もがしっかりアピールされたステージとなった。それは山本が自ら手がけた楽曲が多いということも後押ししてのことでもある。そこでNMB48を切り離したという訳では無く、山本の内に秘める力が発揮されたことで、このようなこれまでと別人に思えるようなステージになったと言える。
息を抜く間などは無く、瞬きすることすら勿体無い時間に思えてしまい、耳から入る音、目で見える山本の動き、人間のすべての機能で山本を感じれる最高のステージだったが、気が付いたら終わりの時間が迫っていた。最後は『幸せの欠片』を歌い、無常にも本編の幕が閉じてしまった。
場内が暗転すると、会場から大きな拍手が響き渡り、アンコールとして「さやか」コールが巻き起こった。そのアンコールに応えて、山本は再びステージへ登場。アンコールの1曲目は何とNMB48の楽曲『甘噛み姫』である。これまでのツアーで一度も歌ったことの無かった曲で、まさかの選曲に、イントロが流れた瞬間、会場から大きなどよめきが起こったのだ。原曲の雰囲気と違い軽快なリズム調で、別の曲にさえ感じられるような楽曲へと生まれ変わった。意表を突くアンコール曲で、さらなる盛り上がりを見せてくれた。大きな盛り上がりを見せた後は、アコースティックギターを片手に『365日の紙飛行機』をしっとり聞かせてくれた。最後はスガシカオが手掛けた『メロディ』を歌い、コンサートの幕は閉じた。
山本は「たくさんの方の耳に届いて、たくさんの方の心に響く楽曲をこれからも作っていきたいと思っています。言葉で何かを伝えることがあまり得意ではないので、そういった意味でも応援して下さる皆さんに普段思っていることを伝えられるようにしたいです。未熟な私ですけど、勉強して経験して作っていきたいと思っていますので、皆さんもこれから私の楽曲を楽しみにして下さい。私のシンガーソングライターとしての道はまだ始まったばかりなので、皆さんこれからも山本彩をよろしくお願いします」と話した。
ツアーは本日が千秋楽となり、しばらくシンガーソングライターとしての山本彩を見ることができないかもしれないが、これからも果てしない進化を続けると思うので、次なる展開にも期待が持てそうだ。
(C)Sayaka Yamamoto
取材/ブレーメン大島
●セットリスト
01 ヒトコト
02 レインボーローズ
03 抱きしめたいけど
04 BAD DAYS
05 彼女になりたい
06 愛のバトン
07 雪恋
08 月影
09 疑問符
10 ひといきつきながら
11 心の盾
12 スマイル
13 初めての星
14 僕らのユリイカ
15 幸せの欠片
アンコール
EN1 甘噛み姫
EN2 365日の紙飛行機
EN3 メロディ