アイドルにとって、体型の維持は仕事のひとつと言ってもいい。峯岸がライザップに取り組むことになったのも、少々「ぽっちゃり」が過ぎていたからに他ならない。同じAKB48では、島田晴香が本格的なダイエットに挑戦し、見事、12kgの体重減に成功したことを自身のツイッターなどで報告。「ご飯は我慢せず、カロリーや糖質を控えると同時に、とにかく運動する」のが、島田晴香流コミットへの道だ。
Juice=Juiceの高木紗友希も、これまではパンパンの丸顔やムチッとした体つきが特徴だったが、最近、他のメンバーと並んでも遜色のないスマートな体型に大変身した。彼女の場合は、毎日10km走って減量したのだとか。高木の変わりぶりを見て少し気がかりなのは、急速に痩せている点だ。強引な方法による急激なダイエットは、リバウンドを生みやすいのだ。
ダイエットや体型維持の基本は、摂取カロリーと消費カロリーのバランス。摂取カロリーを抑えるとともに、適度な運動で消費カロリーを上げれば、必ず体重は落ちていく。この際、運動はエアロビクスやジョギングなどの有酸素系だけでなく、筋トレも適度に取り入れることが大切。というのも、運動をしていない平常時にカロリーを消費する「基礎代謝」は筋肉の量に関係しており、有酸素運動と摂取カロリーの制限だけで痩せてしまうと筋肉の量が減り、その後、基礎代謝の低い体、つまりは太りやすく痩せにくい体ができあがってしまうのだ。有酸素運動でカロリーを消費することは短期間でもできるが、筋肉を体につけるのは時間がかかる。短期間のダイエットには、こうした危険性がはらんでいる。ライザップが短期間で成果を上げながらリバウンドを生まないのも、筋トレを重視している点が大きいだろう。
実際、高木紗友希が所属するハロプロには、一時的なダイエットには成功したものの、その後、無残にもリバウンドしてしまった者がいる。モーニング娘。'16の鈴木香音だ。
もともと、ぽっちゃり系の体型が癒し的な魅力にもなっていた鈴木だが、昨年の春に一念発起し、2か月で9kg減量。前リーダーの道重さゆみをして、「私以外のメンバーで好きな顔は鈴木」「もう少しシュッとしたらグループの顔になる」と言わしめただけあり、鈴木の顔立ちは美少女そのもの。痩せた直後の鈴木には、「かわいすぎる!」「今まで気づかなかったのが悔やまれる」など、褒め称える声が多数寄せられた。
あれから半年とちょっと、現在の鈴木香音は、過去最高の激太り状態に陥っている。昨年6月、明石家さんまのラジオ番組『ヤングタウン』に出演したときには、「太っている自分がイヤなんです。もう戻りたくない」と語っていた鈴木だが、その誓いは守れなかったようだ。
無理なダイエットの代償として、リバウンド以上に深刻なのが、過度の激ヤセだ。ダイエットが順調に進んでいくと、日ごとに落ちていく体重を見るのが楽しくなり、つい「体重を減らすこと」を目的にしてしまう。しかし、本来の目的は、「理想の体型を作ること」。アイドルの場合、その理想体型もファッションモデルのそれではなく、アイドルファンが好む体型こそが「理想」であるはずだ。
適度な贅肉や丸みを帯びたボディラインは、女性らしさの象徴でもあり、ぽっちゃり体型を好むアイドルファンは少なくない。ぽっちゃり系グラビアアイドル・篠崎愛が少しスマートになっただけで、「頼むから、豚に戻ってくれ」と憤るファンもいるほどだ。しかし、鶏ガラのように激ヤセした女性を理想とするアイドルファンは、ひとりもいないだろう。
過去には、AKB48の高橋みなみや、ももクロの高城れにの激ヤセが話題になった。最近でも、モーニング娘。の12期メンバー、尾形春水の度を越した痩せ方がファンの間で取り沙汰されている。ブログなどで公開される尾形の写真には、背骨の骨がくっきりと浮き上がったものも。ファンが「拒食症では?」と心配してしまうのも理解できる。
さて、かなり回り道をしてしまったが、「キレキレの腹筋」に関する是非について。
ライザップ後の峯岸みなみは、確かに余計な贅肉が取れて、美しいボディラインを手に入れた。しかし、賛美の声の一方で、「前のぽちゃ腹の方がかわいらしかった」「キレキレの腹筋は、ぶっちゃけ気持ち悪い」など、ネガティブな意見があるのも事実。顔の好みが十人十色であるように、理想の体型も人それぞれ。見事な筋肉にアイドルとしての魅力を感じるファンもいるだろう。しかし、行き過ぎたムキムキは女性らしさを損なうものとして、マイナス要素に感じてしまう者の方が多いのは間違いない。
℃-uteの矢島舞美も、かねてから見事すぎるシックスパックが話題になっており、マネージャーから「腹筋をやり過ぎないように」と注意されているらしい。峯岸のライザップ効果なのか、NMB48の山本彩、SKE48の大矢真那、AKB48の田野優花など、筋トレに励むアイドルが増えているらしい。アイドル界では、筋トレがブーム?
ストイックに美しいボディラインを目指すのはいいけれど、ファンから求められているアイドル像を忘れずに、筋トレもほどほどにして欲しいものだ。
【リアルライブ・コラム連載「アイドル超理論」第14回】