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東京・足立区騒然! 鳥インフルエンザ検出でヒト感染への恐れ

 ついに東京都足立区へも感染が拡大した。2月3日、同区内の住宅街で回収されたオナガガモ1羽の死骸を遺伝子検査した結果、A型の鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たという。都内で鳥インフルエンザが確認されたのは2年ぶりのこと。感染を防ぐため、上野動物園や多摩動物公園では鳥類展示を中止するなど、波紋を呼んでいる。

 「鳥インフルエンザは1、2年のうちにパンデミック(世界的流行)するかもしれないし、明日なっても不思議ではない状況にあります」
 こう警告を鳴らすのは、インフルエンザの事情に詳しい元小樽保健所所長で医療ジャーナリストの外岡立人氏だ。
 「鳥インフルエンザにも様々な種類がありますが、お隣の中国には世界中の鳥インフルエンザウイルスがいる。言葉は悪いが、鳥インフルエンザの再生工場の趣を呈しているのです。現在、中国でもの凄い勢いで広がっているのが、H7N9のタイプで、2013年に出てから感染者が倍増した。しかも、致死率40%という驚くべき毒性がある。もし、こんなものがパンデミックになったら、人類の滅亡の恐れさえあります」

 1918年から翌年にかけ、アメリカを発生源としたインフルエンザのスペイン風邪は、爆発的に流行し、全世界で感染者5億人、死者5000万人から1億人という被害をもたらしたが、今はその時以上の危険を孕んだ状況なのだ。
 「このまま行けばパンデミックもあるなと心配していたら、H5N6型の低病原性のウイルスに感染した鶏が、中国からミャンマーに輸出されていた。しかも同タイプは、韓国や日本でも確認されている。こちらもいつ、ヒトからヒトへ感染するタイプに変異するか分からないので、それが非常に心配です。このようなことは、人類の歴史上なかったことです」(同)

 H7N9型は、鶏に対しては致死性が低く、低病原性に分類されるが、人に感染すると致死的病原性を発揮するという。これまで1000人以上の感染者が発生し、約350人が死亡している。そして2016年秋以降、感染力が増しているのか、例年になく異常な拡大ぶりを見せているのだ。
 「初期症状は通常の季節性インフルエンザと同じですが、数日以内に重篤化し、多くが死亡に至ります。幸いなことに、これまでヒトからヒトへの感染の事例は数件ですが、今後、どうなるかは未知数。潜伏期間は約10日間で、その間に日本に入ってくる中国系旅行者が危険。彼らの風邪症状については、鑑別が非常に重要になってきます」(同)

 鳥インフルエンザは、感染した家きん、あるいは野生鳥などの体液・排泄物への濃厚な接触や飛沫を吸入することにより、ヒトへ感染している。北西の風が吹き荒れる今の季節で心配なのは、ウイルスの空気感染である。
 「感染野鳥の排泄物に混じった鳥インフルエンザウイルスは、排泄物が乾き、空中に舞いだすと、空気感染を起こす危険が出てきます。数キロ先の農場までウイルスが拡散した事例もありますからね。感染した野鳥が飛び交う地域の空中には、乾いて粒子状となった排泄物に混じって、ウイルスが空中に飛び交っているのです。微量では鳥だけに感染し、ヒトへの感染力は弱いと考えられますが、変異して人に容易に感染するようになれば、パンデミックもありえます」(同)

 鳥インフルエンザの中でも、現時点で最も感染が恐れられているのがH5N1型。ヒトや多くの動物に感染しやすい強毒性で、突然変異によってヒトからヒトへの爆発的な拡大が最も懸念されている。
 「H5N1は現在、人への感染はあまり起こしていませんが、インドやアフリカでは家きんの間で流行しているのです」(同)

 では、我々は今後、どのような対策をしていけばいいのか。
 「野鳥が衰弱して飛べなくなっていたり、死んでいた場合、鳥インフルエンザに感染している可能性がある。死骸及び周辺の排泄物や、飛び散った羽根にも手足で触れないこと。できるだけ早めにそばを離れ、周辺にいる場合は呼吸を避けること。ウイルスが周辺で排泄物や羽毛などと一緒に浮遊している危険性があるからです。また冬期間、寒い地域ではウイルスが長時間生きていることに留意すること。特に雪の中では数日間は生きていることがあるので、衰弱死した鳥周辺の雪も、当局は消毒する必要があります。家庭の庭で野鳥の死骸が見つかった場合は、即当局に連絡する。調査の上、庭の消毒も行われるはずです」(同)

 鳥の死骸を発見、帰宅後は、靴底や手を十分に洗うことだ。
 「パンデミックが起きた際の迅速な対応を、行政、医療機関、マスメディアが普段から作っておく必要もあります。一般市民はパンデミックが起きたとき、できるだけ人混みの中に入らないこと。症状のある人間、出始めた人間は自宅で自己隔離し、保健所に連絡して指示をもらいます。これも、保健所が十分機能していればですが…」(同)

 もはや対岸の火ではない。

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