首都圏の空を守るPAC3は、陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都)や防衛省本省がある陸自市ケ谷駐屯地などに移動し、こっそり配備された。北朝鮮が4月4〜8日に打ち上げるとしている人工衛星は、ロケットの先端に弾頭を装着すれば「テポドン2」に早変わりする。1段目に新型ブースター、2段目にノドンを使い、射程は約6000キロ。2段目は日本列島上空を飛び越えていくといい、精度が悪ければ首都圏に落下する事態も想定される。国民の生命・財産を守るためPAC3の配備は当然だろう。
航空自衛隊は、陸自の秋田、岩手両駐屯地などにも30日まで配備し迎撃態勢を完了する予定。しかしながら、これで万事安心とはいかない。迎撃失敗の可能性はもちろん、仮にうまく撃ち落とせたとしても、オフィスや民家などに“ミサイルの破片”が雨あられのように降り注ぐ危険性があるからだ。市街地上空でPAC3で迎撃した場合、破片が拡散し、かえって被害が拡大する恐れが指摘されている。
こうした指摘について外薗健一朗航空幕僚長は27日の会見で「ミサイルの進入角度や気象状況によるので、一概にどういう結果かは予想できない」と述べた。つまり、ひとつ間違えば大惨事につながりかねないわけで、そんなあやふやな状況下でPAC3を配備されても何の気休めにもならないのである。
一方、海上自衛隊は28日、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦「こんごう」「ちょうかい」を長崎県佐世保港から日本海に向けて出港させる。ほかにSM3を搭載していない「きりしま」も、太平洋側でミサイル航跡の探知にあたるため神奈川県横須賀基地から出港。3隻はすでに周辺海域に展開している米イージス艦と連携してミサイル発射に備える。恐怖の瞬間は刻一刻と近づいている。