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巨人がドラフトで育成選手大量指名の狙い その先にある三軍制の意図とは

 今秋のドラフト会議で、巨人が育成選手を8名も大量指名した。育成選手のシステムはかつて巨人が提唱して採用されたものだが、近年はその育成枠から一軍選手が育っていない現状を受け、整理する方向でいた。それが、突然の方針変更である。
 「巨人がソフトバンクに倣って三軍制を敷くそうです」(ベテラン記者)

 リハビリに専念する選手のみを扱った三軍制を敷くチームは、ソフトバンク以外にもあった。しかし、育成選手制度の欠点は、若手の出場機会を少なくなることだ。通常の支配下契約選手に加えて、育成選手も在籍していれば、保有する選手の単純数が増える。
 しかし、二軍の試合数は限られている。通常の二軍戦に加えて、社会人チームや大学生との交流試合(親善)を行い、実戦経験の場を与えてきたが、巨人は「それでも足りなかった」という。育成選手の台頭が少なくなったのはそのためでもある。

 そこで、巨人は発想を逆転させた。育成選手を増やし、独立した三軍を持つことで、三軍だけで行う試合を増やそうというのだ。
 「三軍だけで70試合くらいを行う予定。社会人、大学生だけではなく、独立リーグとも交流試合を行うそうです」(関係者)

 巨人が三軍設立に際して、手本にしたのはは福岡ソフトバンクホークスだ。ホークスはすでに社会人、大学生、独立リーグと毎年約70試合の三軍戦を行っている。そのレベルは高く、三軍選手を二軍戦にスタメン出場させても“対等”にプレーできているという。
 「要するに二軍を2チーム持っているようなもの。たしかに、背番号が3ケタの三軍選手のなかには“真っ直ぐが速い”だけや“肩が強い”だけなど粗削りな選手も多いが、試合経験を確実に積んでいるので、ウエスタンリーグのなかに入っても対等に戦えます」(同)

 強いチームを作るには、遠回りかもしれないが育成を強化しなければならない。巨人もホークスに倣ってそうしていくつもりだが、ホークスにはない巨人ならではの利点もあるようだ。
 「ホークスは三軍を維持するのに年間約3億円を投資しています。しかし、東京にある巨人ならば、都内、関東近郊に大学、社会人チームが多く、ホークスよりも低予算で三軍を運営できます。社会人、大学生と試合をしていけば、ドラフト候補に関する情報も集めやすいし、実際に試合をして自軍の選手と比較することもできます」(球界関係者)

 巨人の本当の狙いはそこにあるのかもしれない。さらに、今季の巨人は二軍戦の応援スタイルを変更し、Jリーグファンが地元チームを応援するようなものにした。これで、観客動員数も大幅アップしたため、二軍戦も営業次第ではカネになることを実感し、この三軍構成で新たな収益も見込んでいるのだろう。
 年長のプロ野球解説者がこう言う。
 「ホークスは地元ファンに応援してもらうため、地元市民へのサービス向上、女性ファン獲得のためのサービス見直しなど、さまざまな努力を積み重ねてきました。日本ハムも札幌でそうした地元を意識したサービス向上を続けています。一方で広島は女性ファンにターゲットを絞って、市場拡大に成功しました。巨人はこうした営業改善については遅れているようですね」

 球界の盟主の座もホークスに移りつつある。巨人の三軍制が軌道に乗れば、三軍制のパイオニアであるソフトバンクグループの発言権はさらに強まっていくだろう。

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