妖魔退治の伝説とは、以下の通り。
昔、都の御殿にかわいらしい男の子がいた。よく晴れた初夏の日、にわかに天気が急変し、黒雲の塊が現れ、あっという間に男の子が連れ去られた。御殿は大騒ぎになり、早速、多くの武士たちが、黒い塊が逃げた高賀山へ向かった。
そこは夏なのに、どの家も戸を閉め切り、人影も見られない。村人に事情を聞くと、高賀山に妖魔が棲みついて、時々村に来ては田畑を荒らすという。妖魔の恐ろしさを知った武士たちは、使いをやり助けを呼んだ。
帝の命を受けた藤原高光は、高賀山へやって来ると、麓に宮を建て、必勝を祈った。
ある日、高光は、沢山の瓢箪が揺れていて、どこからか「動かぬものを撃て」という声を聞くという夢を見た。高光は、山続きで険しい瓢ヶ岳を目指した。途中で鰻の手助けも借りて、頂上へ辿り着いた。
頂上にある沼は、夢と同様にたくさんの瓢箪が揺れており、その中の一つだけ、じっと動かぬ瓢箪があった。
高光は素早く弓をとり、それを目がけて矢を放った。矢が命中すると、もの凄い叫び声が上がり、強い風が吹き、雷が鳴り出した。高光は続けて第二、第三の矢を放ち、姿を現した妖魔の背中に飛び乗り、見事に仕留めた。
そして、沼から引き上げてみると、頭は猿、身体は虎、尻尾は蛇の形をした身の丈3mもある、恐ろしい妖魔であったという。
(皆月斜 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou