「マー君と投げ合った男」の落ちぶれぶりは嘆かわしい限りだが、野球エリートの絵に描いたような転落というのは、実は今回が初めてではない。
平安高から1991年ドラフト3位で巨人に入団した元捕手・松岡正樹は引退後はタクシー強盗で逮捕。ドラフトで巨人入りを熱望し、巨人指名が決まった瞬間に涙したかつての姿を思い出し、深く嘆いた巨人ファンは少なくなかっただろう。
高校屈指のスラッガーで「伊奈ゴジラ」の異名を持った伊奈龍哉(近江高→2006年ソフトバンク入団)は、右肩痛でわずか1年で退団後、今年2月に知人女性のバッグから4万円を窃盗した疑いで逮捕、そして釈放後間もない3月30日には、福島第一原発から30キロ圏内で屋内退避地域となっている南相馬市内で電線を盗んだ疑いでふたたび逮捕された。逮捕時の伊奈は「住所不定、無職」となっていた。
他にも幼女へのわいせつで逮捕された中山裕章(元大洋、中日)に、ひき逃げ逮捕の前川勝彦(元近鉄、阪神、オリックス)と、現役プロでありながら不祥事を起こした男たちもいる。元ロッテの小川博は引退後強盗殺人事件を起こし、無期懲役となってしまった。
野球エリートたちの不祥事は、いったいいつまで続くのか。その野球エリートを育む高校野球とは、高野連(高校野球連盟)が謳う「教育の一環」として、本当に機能しているのか? そこをもう一度検証する必要がありそうだ。