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グラフでわかる「高すぎる訴訟リスク」 「おめでた」の裏に潜む産婦人科の医療問題

 自分の友達などが妊娠、出産をすると私達は「おめでとう」という言葉をかけます。本当におめでたいことなのでこの言葉にウソ偽りはありません。

 しかし、出産にはリスクが、裏側では産婦人科医不足などの問題を日本は抱えているということを、私も含めて日本国民は忘れがちではないでしょうか。

 医療技術の発達していない国では約250人に一人の母体が出産によって亡くなっています。日本という国も50年前までは同じ確率で亡くなっていたそうです。しかし、医療技術の発達により現在では2万人に1人という確率にまで死亡率を落とすことが出来ました。それでも、250人に一人は出産により身体を壊し、救急救命センターや産婦人科病棟で治療を受けているのです。

 今でもニュースなどで、緊急に出産が必要になったときにどこの救急病院も受け入れることが出来なくて、病院をたらい回しにされたあげく死亡したという話が出ます。このようなことが起きる背景には医師を含む医療従事者が不足しているという問題が見受けられます。

 特に、産婦人科医というのは他の科の医師に比べて成り手が少ないそうです。理由としては他の科に比べて訴訟リスクが高いというのも原因の一つでしょう。

 厚生労働省発表の統計データ「厚生労働省 平成20年3月12日参考資料PDF」52Pから一部抜粋いたしますと、次のようなことが分かります。(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/03/dl/s0312-8c.pdf)

「医師1000人あたりの訴訟既済件数」平成18年度

産婦人科 16.8件

整形外科・形成外科 6.6件
外科 5.4件
内科 2.7件
精神科 2.5件
小児科 2.2件

 他の科に比べて産婦人科がどれだけ訴訟リスクが高いかをいうことがお分かりいただけることと思います。

 その他の原因としては、産婦人科医の仕事は体力的にも精神的にもハードなので辞めていく医師が後を絶たないということでしょう。特に体力がいるという理由から、男性医師向きの仕事だと言われているのですが、出産するのは女性です。男性医師には対応して貰いたくないという患者のニーズもあり女性産婦人科医中心に増やそうとしているのだそうです。

 しかし、女性産婦人科医もいずれは自分が出産するという立場に立つ人もいます。その場合にすぐに産休がとれないなど、女性医師のための職場環境が整っていない為、やはり成り手が増えないのです。

 テレビなどでは受け入れ拒否、たらい回しばかりがクローズアップされがちですが、医療側も出来ることなら全ての患者を、赤ちゃんを救いたいはずです。だが、日本の医療現場はそれが出来る環境が整っていない。国も対応すると言いながらも先延ばし状態です。

 この問題は患者側、医療側、双方に関わる問題です。お産というものは、新しい命が誕生する「おめでた」の一方、裏側では様々な問題を抱えているのです。(だいちゃん)


【参照】非モテタイムズ
http://himo2.jp/

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