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麻酔なしで目の手術、患者が悲鳴も医者は無視 「免許をはく奪しろ」と怒りの声が殺到

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 患者は医者を信じ、治療を受けるものだ。海外では医者が医療ミスに気付くも、適切な処置を行わなかったせいで、手術中、地獄の苦しみを味わった患者がいる。

 海外ニュースサイト『ABC News』は2019年5月2日、アメリカ・イリノイ州に住む21歳の女性、サットン・ドライフホートさんが、目の手術をした医師を訴えたと報じた。医師は自身のミスから、サットンさんに麻酔をせず、手術に取り掛かったそうだ。

 同記事によると、2017年、当時19歳だったサットンさんは、左目の眼球にできた水ぶくれを取り除くための手術を受けたが、医師は間違えて右目を手術。手術が終わろうとしたとき、看護師が間違いに気づき、医師に指摘したそうだ。医師は間違いに気づいたが、焦ってか、手袋もせずすぐに左目の手術に取り掛かったという。

 サットンさんの右目には麻酔がかかっていたものの左目には麻酔がかけられていなかった。サットンさんはあまりの痛さに何度も「やめて」と叫んだが、医師はサットンさんの頭を押さえて無視。最後まで手術をやり終えたそうだ。手術から2年が経った現在も、サットンさんはひどい頭痛に悩まされ、いまだに精神的なトラウマを抱えているという。このたび、サットンさんは病院側に対し訴えを起こし、50,000ドル(約550万円)の損害賠償を請求した。病院側は、医師が麻酔をしないまま手術に取り掛かったことを認め、さらに痛みで目を閉じようとするサットンさんの目を無理やり開けさせるように医師が看護師に指示していたことも明かしている。

 このニュースが世界に広がると、ネット上では「恐ろしすぎる」「医者は免許をはく奪されるべき」「サットンさんにはぜひ裁判に勝って欲しい」という意見が挙がっていた。

 医療過誤のニュースはアメリカに限らず、日本でも報じられることがある。しかし日本の場合、医療過誤の証明は困難であるのが実情だ。

 『幻冬舎GOLD ONLINE』(幻冬舎)は2019年3月に公開した記事で、「日本の法律では医療において、過失の概念を証明することは難しい」という弁護士の意見を紹介している。医師側に過失がある場合は「医療過誤」となり病院側を訴えることもできるが、正しい治療を受けた上で悪い結果が起こった場合は「合併症」と呼び、病院側の責任は問われないそうだ。法律上、過失と認められるのは病院側の治療に明らかな非があった場合だ。しかし医療行為が正しかったのかどうかを法律にのっとって判断することは難しく、治療の妥当性を明確にすることは困難だという。

 2004年12月、福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた第2子を出産予定の妊婦が、手術後に死亡するも、同院の医療過誤が認められず、無罪となった。妊婦は、第1子を出産した際、胎盤が何らかの原因で出産に悪影響のある位置に定着する「前置胎盤」であると診断されていた。第2子は同院で出産する予定だったが、緊急時には第1子を出産した双葉厚生病院に応援を頼むことで同院と同意していたという。

 手術が始まると、妊婦に大量出血の可能性があり、助産師が「双葉厚生病院に応援を頼む必要がある」と医師に助言したが、医師は応援の必要はないと判断。妊婦は出血多量が原因で死亡した。2006年2月、手術に当たった同院の産婦人科医師は業務上過失致死と医師法違反の容疑で逮捕された。しかし、医師の対応や輸血対応の遅れの過失が裁判で認められず、2008年8月、被告人の医師は無罪となった。

 サットンさんの医療ミスに関しては、病院側も非を認めているため、主張が認められる可能性は高いそうだ。しかし日本では患者が訴えを起こしたとしても、医療過誤と判断されることは少ないのが現状だ。医療過誤を減らすためにも、過失をどこまで認めるのか、国が法律を見直し、明確に定めることが今後の課題となるだろう。

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