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「おぐらが斬る!」人はなぜスピリチュアルや陰謀論を信じるのか?

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日本人の多くは、自分が無宗教、もしくは本気で神仏を信じてはいないと思っているという。本当だろうか?

日本人のほとんどは自覚していないだけで、とても宗教的な民族だ。ただし一神教と違いありとあらゆる神を畏れ信仰する。赤ちゃんが産まれればお宮参りに行き、結婚式はキリスト教式、死ねば仏教でお葬式。これをシンクレティズム(混合宗教)という。

日本には元々原始的な神道があり、仏教が中国から伝わると、たちまち「アマテラスと大日如来と一緒だ」という具合に習合した。

そもそも人類というのは“迷信”を信じることで進化してきた。部族部族に守り神がいて、死んだら別の世界に行くと思って安心を得た。一生懸命祈れば願いはかなうと信じた。

ちなみに東大や甲子園に行きたいと思っている高校生が、死ぬ気で山に籠もり滝に打たれたりしても願いはかなわないからね。(そんな受験生や高校球児はいない(笑))

それでも受験生も高校球児も、願いをかなえて欲しいと神仏に手を合わせお守りを握りしめる。スピリチュアルとは霊魂など超自然的なもの神秘的なものを指すが、人類はずっとそんなスピリチュアル的なものに頼ってきた。

占いで未来を知ろうとし、パワースポットを巡り、開運グッズを求め未知なる力に守ってもらおうとしてきた。大脳が発達し過ぎた人類は、そうしないと不安で仕方がないからだ。

そして、その不安を利用したスピリチュアル・ビジネスや霊感商法も横行している。大衆雑誌には「このブレスレットをつければ、たちまちモテモテ」「これで宝くじに当たりました」「この水晶を置いておくだけで幸せになります」などなどウサン臭い広告てんこ盛りだ。「そんなの誰が買うの」と思う人もいるが、需要があるから供給がある。

そして陰謀論もスピリチュアルと親和性が高い。「新型コロナは闇の政府による人口削減計画だ」というのが流行ると同時に「コロナは陰謀。実はただの風邪」という真逆の陰謀論が流行る。

陰謀論を信じる人はこれら真逆な説を両方支持する。

スピリチュアルと陰謀論信望者の類似性は、アカデミック(正統的・学究的で根拠があるもの)よりも、「幸せになる水晶」や「コロナは陰謀」のようなアカデミックでないものの方が、安心できるというところだ。

彼らを笑うことはできない。伝統的宗教も「神に祈れば天国に行ける」「ナムアミダブツと一度でも唱えれば極楽浄土にいって幸せになれる」と根拠のないことを信じて、戦争や合戦で死んでいった人のなんと多かったことか。

21世紀になったいまでも、人類は根拠のない何かを信じて生きているのだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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