祇園の花街は6月1日から営業を再開している。お茶屋遊びは接待を伴う飲食の典型的なケースだが、舞妓たちは客との距離を1〜2メートル保つ、お座敷遊びはしない、回し飲みや返杯はしないなど、独自のルールを決めて対策を講じてきた。にもかかわらず、感染確認で置屋、お茶屋はもちろん、贔屓の旦那筋や有名人は不安の色を隠せない。
「コロナで興味本位の観光客が減って、静かな祇園に戻ると思っていたのに、舞妓がコロナにやられたんではどうもならんがな」(西陣の会社経営者)
「毎年7月は大阪松竹座に出て、夜は京都に走って祇園で…というコースだったんですけど、今年は予定変更です」(某歌舞伎役者)
感染経路は不明だが2人の症状は軽く、すでに退院して実家で静養しているという。濃厚接触者とみられる同じ置屋の舞妓や芸事関係者など、およそ20人は陰性で感染は認められなかった。2人が派遣されたお茶屋は営業を休止している。
舞妓の感染騒動は祇園だけにとどまらず、各方面にも影響を及ばしているようだ。ようやく営業にこぎ着けた鴨川の納涼床では、舞妓の接待で川床情緒が盛り上がるが、今年は様子見という店もある。
老舗の料理屋は、「今年は舞妓の代わりにホステスさんを呼んでます」とのことだが、やはり贔屓の反応はいまひとつ。祇園祭、五山送り火の規模縮小と合わせ、京都の夏は情緒を欠いたものになりそうだ。