この音について、「首をポキポキ鳴らすと、神経マヒや動脈解離が起こるリスクがある」と、唱える人がいます。これに関しては賛否両論あり、まだはっきりとした答えは出ていません。
私は50歳の時に左の首の椎骨動脈が詰まって、血栓が飛んで軽い脳梗塞を起こしたことがあります。おそらく、椎骨動脈の基部で動脈解離が起きたと思われます。それが若い頃からやっていた首のポキポキではなく、「早朝だけ知らない間に血圧が上がって解離した」のが原因だろうと神経内科医に言われました。回復後も相変わらず首はポキポキと鳴らしています。
また、私は60歳を超えた頃から首をポキッと鳴らした時に稀に右の上肢に電撃痛が走ることがあります。これは、年齢とともに頚椎が変形してきたので、頚椎から手に向かう神経が出る穴も狭くなり、たまに神経をひねり挟むのだと解釈しています。
指の関節をポキポキと鳴らしていると、将来、変形を起こすという意見もありますが、これも賛否両論あります。私は若い頃から指を鳴らしてきましたが、63歳まで変形はほとんど起こっていません。
首や指を極端に強くひねるのはよくないとしても、軽くひねってポキポキ鳴らすのは問題ないと考えています。
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監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp