「笑うと健康になる」というのは、単なる俗説ではありません。きちんとした研究によって実証されています。1995年、関節リウマチの専門家である日本医科大学名誉教授の吉野慎一先生は、落語家の林家木久蔵さんを招いて、リウマチ患者さんたちに落語で大いに笑ってもらいました。その後に患者さんたちの血液検査を行ったところ、落語を聞く前よりもいくつもの検査値が正常人の値に近づいていたのです。明らかにリウマチの痛みも改善していました。
がんの場合も、「自分から治すぞ!」と意気込む人のほうが、しょげている人よりもがんを克服しやすいとされています。楽しく笑うことで、血液中のナチュラルキラー細胞(免疫をつかさどるリンパ球)の活性が増えていきます。吉野先生は「笑いは副作用のない薬」と提唱されています。笑うだけでなく、映画を見て涙を流したり、ホラー映画を見てぞっとしたり、好きなことに夢中になることで脳内のストレス状態がリセットされます。けろっとする感じです。
自律神経系、内分泌系、免疫系の3つがバランスの崩れた状態から回復し、関節リウマチだけでなく、様々な病気が改善へと向かっていくのです。
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監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp