“茶髪の風雲児”が、永田町の常識より市民目線を優先した。
橋下氏は17日の記者会見で、次期衆院選に関連し「今の段階では民主党のほうが地方分権に力を入れており、感銘を覚える」と述べた。民主党が国庫補助金の一括交付金化など、具体的な地方分権案を打ち出したことを評価した発言だった。
22日投開票の自民党総裁選の焦点は、圧勝が予想される“麻生総理”を前提に衆院解散・総選挙の日程に移っている。候補者5人とにぎやかだが、事実上の勝敗が決しているせいか肝心の政策論争は盛り上がらない。しかし与党陣営には“お祭り総裁選”以外に支持率上昇を期待できる材料はない。一定の人気を持つ橋下氏の民主党支持発言は、“身内”から冷や水を浴びせられた格好だ。
橋下氏は大阪府知事選で選挙協力してくれた自公両党に多少は配慮したのか、来たる総選挙では「論理や理屈だけでは判断できないこともある」と民主党候補の応援自体は否定。それでも「自民、公明両党は民主党を上回る、国のかたちを根本的に変えるマニフェスト(政権公約)を出してほしい」と注文をつけることを忘れなかった。
策士・小沢一郎代表(66)率いる民主党は、次々と“麻生政権”を追い詰める手を打っている。
民主、国民新両党は17日、来週にも合併で正式合意する方向で調整に入った。自民党新総裁が選出される22日までの決着に向け、早急に「合併協議会」を立ち上げて次期衆院選での選挙区調整や政策協議などを急ぐ。
国民新党の綿貫民輔代表(81)は同日の記者会見で「党の基軸をきちっとしたかたちで協力できれば、という考えは持っている」と合併に前向きな姿勢をあらためて表明。両党内部にはそれぞれ異論もあるが、国民新党幹部は「政権交代の実現が一番大切だ。そこは国民新党も民主党も一致している」と述べ、最終的には調整可能との認識を示した。
小沢氏は17日夜、長崎市内で衆院選の次期について「早いと10月26日だ」と臨戦態勢に突入していると明かした。勝機ありとみて戦闘準備を着々と進めているようだ。