9月も中旬を迎えて、両リーグとも熾烈な首位争いが続く一方、下位チームは早くもストーブリーグに突入した。セ・リーグでは9月8日、最下位に沈むヤクルトの小川淳司監督が進退伺いを出したことが明らかになり、事実上の解任が決定。パ・リーグでもオリックスと最下位争いに低迷する日本ハム・栗山英樹監督の続投が微妙になってきた。
「そんな中、ロッテは楽天と3位争いを展開中で、クライマックス・シリーズ(CS)の出場の可能性があり、監督交代の動きはない。井口監督は今季が3年契約の2年目。球団幹部、選手の信頼も厚く、続投の方針は揺るがないにもかかわらず、ロッテが“ミスタータイガース”掛布氏の担ぎ出しに本腰を入れたことで、球界に波紋が広がっている。狙いが、“ポスト井口監督”にあるからだ」(スポーツ紙デスク)
各メディアの報道によると、オーナー付SEAとして2017年から試合や他球団のキャンプなどを視察してチームづくりの助言をしてきた掛布氏がタテジマと別れることになったのは、昨オフの契約更新の際、球団幹部が「これが最後になります」とけんもほろろに最後の1年になることを伝えてきたから、とされている。しかし、本誌が入手した情報によれば、阪神の功労者であることを忖度し、タテジマのしがらみから解放したのが真相のようだ。
この時期に「退団」を公表したのは、水面下でロッテ入りの話が進んでいたから。千葉は掛布氏の故郷。「最後のご奉公は生まれ故郷で」というのがかねてからの願いで、その気持ちに報いたのだという。
「阪神のオーナー付という肩書きのままでは、非公式であれ、ロッテとの交渉に制限がつきます。そこで『阪神とは今季限りで関係ない』ということを世間に知らしめる必要があったのです。阪神で一軍監督に就任する夢はこの先も難しい。とすれば、可能性のあるところでそれを叶えて欲しい。それが球団の思いやり。ロッテが掛布氏を欲していることを追認したわけです」(阪神OBの野球解説者)
とはいえ、ロッテが井口監督の続投を決めながら、掛布氏にちょっかいを出すのもおかしな話。しかし、井口監督の意向に沿ったチーム編成が背景にあるのだ。
井口監督が目指すのは、ベンチワークにとどまらず、もう一つ上のステージだ。福岡ダイエーホークス、シカゴ・ホワイトソックス、千葉ロッテなど日米の野球界の第一線で活躍し、ワールドシリーズにも出場した実績を持つ井口監督が思い描く最終形は「GM(ゼネラルマネジャー)での球界刷新」なのだ。
日本の球界では、トレードが頻繁ではなく、埋もれている選手がゴマンといる。MLBのようにトレードを積極活用したり、現役ドラフトを取り入れるなどして、選手がフルに働ける環境を整えたい。首都圏の地方球団ならそれがやりやすい…。
(明日に続く)