同法案が可決成立するためには、与党でも消極的立場の公明党が主張する「ギャンブル依存症対策が不十分である」という問題を、しっかりとクリアしなければならない。既に100カ所の公営ギャンブル場やパチンコホールが1万店ある日本において、カジノが1、2カ所開設されたからといって依存症患者が急増するとは考えづらいのだが、この問題を解決しないことには、反対世論が納得しないからだ。
現在、カジノ推進派が検討しているギャンブル依存症患者増加防止策として有力視されているのは、入場者をデータベース化しスクリーニングするというもの。
例えば毎日入場している人、入場から退場まで24時間を超過する傾向にある人など。また、チップ交換時にも身分証明を求め、一定以上の金額を使った人などもチェックするか検討されている。さらには消費者金融業者のデータベースとリンクさせ、多重債務者を排除するという構想もある。
いずれにせよ、強制的に入場を拒否するためには法律による規定を用意しなければならない。最終的には「家族からの要請があれば当該人物の入場を拒否できる程度に落ち着くのではないか」との意見が多い。
そうした中、ここに来てもう一つの問題が指摘され始めた。『イスラム国』など国際テロ組織の存在だ。
『イスラム国』は、5月に入ってから発生したアメリカ・テキサス州での発砲事件についても犯行声明を出すなど、アラブ諸国以外にも活動の範囲を広げている。カジノ反対派は「欧米文化的なカジノはテロリストの格好のターゲットになる」と主張。「オリンピックは短期間だが、カジノは永続的なためテロを防ぐのが難しいと想定されている」と警察関係者も言及している通り、この問題はギャンブル依存症以上に解決の道は険しい。
法案は再提出されたものの、果たしてこうした難題を押し切って悲願成就となるだろうか。これこそが“ギャンブル”といえる。