ソニーは戦力外の中高年社員を“追い出し部屋”に集め、パージしてきた裏の顔がある。それだけでは対応しきれないとばかり、今回は「希望」に名を借りたテイのいい「肩叩き」に打って出た。悩ましいのは“人材放出”が、これにて打ち止めではないことだ。販売部門で今期中に20%、本社間接部門でも30%を削減するなど、過去の苛烈リストラで約14万人まで減少した社員のさらなる大幅スリム化を掲げている。
加えてパソコン事業を投資ファンドに売却、巨額の赤字をタレ流してきたテレビ事業は7月に分社しており、有力OBは「情けないことに今のソニーは資産売却と人減らしが本業になったようだ」と苦言を呈する。
先の株主総会では、平井一夫社長に対し「あなたに任せて大丈夫なのか」と怒号が飛んだ。直後には、さらに目を剥く事実が明らかになった。平井社長の役員報酬が、好決算を謳歌したトヨタ自動車の豊田章男社長を上回ったのである。
「これでOBはもちろん、一部社員までが『冗談じゃない』となった。情け容赦ないリストラカードを切る一方で、経営責任を問われて然るべき社長がトヨタの社長を上回る高給をもらっていた。有力OBなど『あの男を社長ポストから引きずり下ろさない限り、ソニーの明日はない』と息巻いている。彼らの画策次第では、いつクーデターが起きても不思議じゃありません」(ソニー・ウオッチャー)
すでに米ムーディーズや英フィッチはソニーの格付けを「投機的」、すなわちジャンク債(くず債権)に格下げしている。もはや、今はやりの“プロ経営者”投入は待ったなしのようだ。