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多摩川シジミ大発生で“採り放題”状態にジレる漁業組合

 近景に羽田空港を臨む多摩川河口に、時ならぬ“シジミラッシュ”が起きている。下水処理や住民の清掃活動によって水質が浄化し、自然に増加したという。
 「付近は汚染が深刻化した昭和40年代以降シジミが姿を消したため、漁業権はしばらく更新されていません。現在は河口から六郷鉄橋までは漁業権がなく採り放題のため、5年ほど前からシジミ採りに訪れる人たちが急増しました。砂を掘り起こす作業を繰り返すと、わずか数分でシジミが両手に山盛り採れるそうです」(大田区観光協会)

 自由漁業のエリアのため、地元漁業組合サイドから見ると誰でも採りたいだけ採れる無法地帯と映る。
 「現在シジミはキロ数百円が相場。千葉、神奈川から遠征し、1日で500キロ採って帰る事例もある。単純計算で年間1000万円超は稼げることになります。こうなると乱獲となり、せっかく育ったシジミが消えてしまうという危機感が組合加盟の漁師にはあるのです」(地元漁業協同組合)

 こうした事態を受けて、東京の漁協などが都に漁業権の復活を求めて陳情した。
 「今年9月の漁業権の切り替えを機に、シジミを漁業権化しようと検討中です。そうなると、他県から来る漁師などは今後採れなくなります。ただし、個人が手掘りで採ることまでは制限しません」(東京都水産課)

 ただ、誰が採るにしても問題があるようだ。食、環境問題に詳しいジャーナリストが指摘する。
 「大量繁殖することや黄色っぽいところをみると、純粋種を駆逐する中国や台湾など東アジアの淡水域に生息するタイワンシジミ類かもしれず、味は落ちます。また、川の流域から流れ込んだ放射性物質が必然的に河口付近に溜まっていく可能性があり、これも心配ですね」

 シジミが含むオルニチンは“呑んべえ”の必需品だが、セシウムを取るかオルニチンを取るか、いくらタダでも頭の痛い問題だ。

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