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南海トラフ、首都直下型 忘れたころにやってくる 巨大地震3つの不気味な兆候

 8月4日午後0時28分頃、宮城県沖を震源とするマグニチュード(=以下M)6.0(最大震度5強)の地震が発生した。気象庁では「東日本大震災の余震」としており、2年5カ月経った今も、日本列島の地下は激しく動き続けている。
 そんな中、いったい南海トラフ巨大地震は、いつ発生するのだろうか。国の有識者会議は5月28日、「現在の科学的知見からは確度の高い予測(=予知)は難しい」とする最終報告書をまとめている。しかし、“Xデー”は、その周期を見れば確実に近づいていることがわかる。

 諸説あるが、南海トラフ巨大地震の最古の記録は、『白鳳地震』(684年・M8〜9)。それから前回発生した『昭和南海地震』(1946年・M8.0)まで、計12回を数える。
 「その周期は、70〜100年。仮に次の巨大地震の周期を最も短い70年とすれば、次は2016年。3年後とはいえ、何が誘発する引き金となってもおかしくない状況には違いないのです。さらにもうひとつ。不気味な兆候は、巨大地震の前には西日本を震源とする局地的な大きな地震が発生していること。その意味で、今年春に発生した淡路島地震は、南海トラフ巨大地震の前兆の可能性もあるのです」(サイエンスライター)

 4月13日発生した淡路島地震は、M6.3を記録。淡路市と洲本市で、住宅損壊は2000棟にも上った。
 また近年、淡路島地震以外にも各地で大きな地震が起きている。たとえば今年4月17日には三宅島を震源とするM6.2の大きな揺れが、7月15日には琉球列島の与那国島近海でもM5.4の地震が観測されている。
 「西日本の内陸部でも、'95年の阪神淡路大震災(M7.8)、'00年の鳥取県西部地震(M7.3)、'01年の芸予地震(M6.7)などが起きている。これらの地震は、プレート間の溝である南海トラフに強烈な圧力がかかっているからこそ起こったと言え、巨大地震へ向けての準備ともとれるのです」(サイエンスライター)

 さらに今後、寸前に迫った場合の動きを、防災に詳しいジャーナリストの村上和巳氏が言う。
 「これまでの南海トラフの巨大地震は、紀伊半島沖のやや伊勢湾寄りの岩盤がまず割れ、それが北上して東海地震を発生させ、それから四国沖に伝播するという流れで起きました。次に発生する場合も、同じプロセスをたどるはずです」

 その被害は、内閣府中央防災会議の報告によれば、関東から九州にかけての広い範囲に20〜30メートルの巨大津波が襲い、地震による死者と合わせて32万人もの犠牲者が出るとしている。この死者数は、東日本大震災の20倍近い数字だ。
 「ライフラインでは、最大3440万人が断水、2710万軒が停電、930万回線が不通になると推定されている。中部から九州までの空港は津波で浸水し、ビルのエレベーターに閉じ込められる人も最大2万3000人出る。コンビナートなどは、静岡県〜大分県の臨海部にかけての流出が最大で約60施設、破損被害が約890施設と予想されている。防波堤や各施設の対策が急務とはいえ、これでは当然、即対応するのは不可能なのです」(前出・サイエンスライター)

 “Xデー”が近づきつつあるのは、南海トラフ巨大地震だけではない。首都直下を震源とする巨大地震については昨年初め、東大地震研究所の研究チームが「4年内に発生する確率が70%」と試算し、世間を震撼させた。これに関しては異論が相次ぎ、「50%以下」という再試算が出された経緯があるが、「内陸の立川断層にリーチがかかっている」という点は、多くの研究者の意見で共通しているという。
 「立川断層帯は、埼玉県の名栗村から東京都青梅市、立川市を経て府中市に至る長さ約33キロの断層帯です。最新の活動時期は約2万年前〜約1万3000年前とされ、平均活動間隔は1万〜1万5000年程。そのため、今後30年の間に地震が発生する可能性が比較的高いグループに属しています。注意しなければならないのは現在、この断層帯が隆起していることで、太平洋プレートに押され悲鳴を上げているのだとすれば、いつ動いても不思議ではありません」(同)

 話を過去の例に戻せば、産業技術研究所の専門家は、こうも語っている。
 「ここ50年間の地震の発生状況は、9世紀に非常に似ています。当時発生した大地震を見ていくと、818年の関東地震以後、東北地方の日本海側や関東甲信越地方で内陸型の地震が多発していることがわかる。そして869年、東日本大震災を引き起こした巨大地震とほぼ同じ震源、規模の貞観地震が発生した。そこから9年後の878年には首都直下とも言える南関東地震が、さらにその9年後の887年に南海トラフ地震の仁和地震が起きました」

 今回も、東日本大震災、首都直下、南海トラフ…というシナリオが待っているのか。加えて、こんな最悪な事態も起きるという。
 「同研究所では先日、巨大地震の強い力で内部にひびが入ると、そこから富士山が爆発的な噴火を起こしかねない状態だとする分析結果をまとめている。巨大地震の後に活火山が噴火を始めるのは歴史の示すところでもある。ここまで逼迫している状況でのオリンピック招致は、博打を打つようなものです」(防災ジャーナリスト・渡辺実氏)

 脅かされる日は続く。

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