ホテル側は「“偽装”ではなく、あくまで“誤表示”」で切り抜けたい様子だが、上層部の火消しをよそに、『阪急阪神ホテルズ』の営業関係者はこう嘆く。
「メニューと異なるものを出しているというのは業界の噂では聞きますが、まさかウチでもか、というのが正直な気持ち。私たちは(メニューには)いつも自信を持ってお勧めしていましたから本当に残念です。年末に向け、いつもの年なら予約の確認で忙しいときに、今年はお詫びに明け暮れそうです」
こうなると気になるのは、同業者に関してだ。“業界の噂”は本当なのか? 大阪市内某有名ホテルのOBに聞いた。
「今はどうかしらんけど、不正競争防止法('93年)が改正されるまでは偽装スレスレの誤表示はウチも含めどこでもやってたで。伊勢エビがそれに近いロブスターで出たり、近江牛が松阪牛になったり、愛知で作った伊勢うどんとか、プロが見たら一目で産地が違うとわかるアワビとかね。食材名に産地名が入っているものは、基準がえらい曖昧なんや」
そんな状態が、今も“誤表示”の感覚で引き継がれていたのか。最大手でまかり通る理由を、在阪のグルメライターがこう説明する。
「大きなホテルチェーンの場合、食材の仕入れや吟味は、料理長ではなく資材部に権限のあるところが多く、その資材部が採算重視で動いている。料理長がその辺の事情をどこまで知っていたかも注目ですが、やはり資材部に圧力をかける経営陣に問題があることは間違いありません」
波紋はまだ広がりそうだ。