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危う過ぎる空港ビジネス

 本邦初となる“空港運営権ビジネス”が注目を集めている。関西国際(関空)と大阪国際(伊丹)の両空港を傘下に持つ新関西国際空港会社(新関空会社)が運営権を民間に売却すると発表、10月に入札の受付を開始し、2回の審査を経て優先交渉権者を選定。再来年1月には滑走路や空港ビルなどは従来通り空港会社が所有するものの、選定された民間企業が空港の運営を担うことになる。

 まだ世間ではなじみのない運営権ビジネス。ゴールドコースト空港(豪州)や金浦国際空港(韓国)が先行し、大型商業施設やレジャー施設、さらには着陸料を大幅値下げすることでLCCを誘致するなど集客効果を高めている。これに着目した各地の空港が「政府の強い要請」(情報筋)もあって検討を重ねる中、新関空会社が先陣を切った図式である。

 ただ、難点は45年にわたる運営権の最低入札価格が2兆2000億円と決められていること。前払い金がゼロの場合、毎年の支払額は490億円以上になる。商業施設に入るテナントからの賃貸料をはじめ新たな収益源を確保すれば、それでも「十分ペイする」との強気な論法らしい。

 説明会には大手不動産会社や銀行、商社などの日本勢はもちろん、海外の投資ファンドなど150社・団体が参加した。この盛況ぶりに、安藤圭一社長はご満悦だったが、メガバンク役員は冷ややかだ。
 「半年後でさえ見通せない中、45年間にわたって最低でも490億円を払い続けるのは至難の業。ノーベル経済学賞を受賞した面々だって、そこまでの需給予測は不可能でしょう。契約期間中に白旗が掲げられても不思議ではありませんよ」

 野球場やサッカー場の命名権でさえ契約は数年単位。それに比べれば、民間に払い下げる空港の運営権は期間も金額もまるでケタが違う。政府が主導する空港運営権ビジネスは、絵に描いた餅となる危険を十分に孕んでいるようだ。

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