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USJに押され続けるTDLの一気逆襲策

 ゴールデンウイークが近づく中、レジャーの王道、東京ディズニーリゾート(TDR=千葉県浦安市)に、対前年比で入場者数減による暗雲が立ち込めている。10日には舞台点検中のパフォーマーの事故死も重なり「泣きっ面に蜂状態」と皮肉る向きも出てきた。
 「確かに、入場者数減は各マスコミにマイナス要因と捉えられ、厳しい論調も目立つ。しかし、多少のへこみはあっても経営体質は盤石。さらに今後、TDRが2000億円を超える莫大な投資で、3年後には新規開発エリアと新テーマをオープンさせる改修工事に着手した。そのため、再びリピーターが殺到し、新規入場者も増えることは間違いない」(関係者)

 それにしても、TDRに何が起きているのか。TDRを脅かす存在と言われているユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ=大阪市)の動向と重ね合わせながら見てみよう。

 そもそもの“TDR苦戦説”の火元となった入場者数について、全国紙経済部記者はこう解説する。
 「TDRの'16年度入場者数が、2年連続の前年割れで3000万4000人('15年は3019万1000人=対前年比マイナス0.6%)だったのです。これは東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを併せた入場者数。'15年度の東京ディズニーシー入場者数は1360万人で、USJの1390万人に抜かれる有様で、USJは'16年、対前年比5%増の1460万人で、こちらは3年連続増とイケイケの勢いです」

 TDRは、減少理由をマスコミ向けに次のように述べていた。
 「'16年度上期(4〜9月)は台風の影響もあり前年同期比0.3%減と苦戦。下期(10〜3月)には東京ディズニーランドで今年の1〜3月に開催した“アナと雪の女王”が好調だったが、0.9%減と回復には至らなかった」

 ある経営コンサルタントは、その不振の原因をこう分析する。
 「一つに、TDRの連続値上げの影響があるのも確かです。'14年3月まで大人1人6200円だったワンデーパスポート(入場料+1日乗り物乗り放題)が、同年4月に6400円、'15年6900円、'16年4月には7400円にまで上がった。3年間で19.4%のアップ率に不満が出ていたのは間違いない。しかし、値上げだけを見れば、USJは'17年2月から大人1日パスポート7600円と、TDRを上回る。しかも、8年連続値上げ。つまり、入場料の上昇だけがTDR入場者数に影響しているとも言い切れない」

 すると、他にも理由があるのか。
 「TDRは開園30周年となった'13年に入場者数3000万人を突破しており、前年の2750万人から一気に380万人も増加している。'14年は、さらに増えて3138万人。背景には、中国人を含めた外国人の来園者が爆発的に増えたことがある。しかし、これにより人気アトラクションなどは1時間半以上の待ちになるなど、大混雑ぶりに不満の声が多く聞かれるようになったのです」(同)

 TDRが想定を上回る増加ペースに対応できなかったことに加え、人手不足を背景にスタッフの確保にも手間がかかり、対応が後手に回った節もあるという。
 「一方のUSJは、'16年3月に設けた新型ジェットコースター『ザ・フライング・ダイナソー』が大人気。'14年導入の『ハリー・ポッター』は訪日外国人も含め国内外で強い集客力を持つ。加えて、AKB48の常設ライブ、『名探偵コナン』、『進撃の巨人』など、人気漫画コンテンツも目白押し。対してTDRは混雑疲弊を上回るような企画がなく、マンネリ化していたと言える」(旅行業関係者)

 しかし、冒頭の経営アナリストはこう言う。
 「30周年の後、一服つきながら値上げを続け、入場者減と言っても微減のレベルで踏ん張ってきた。そのため今、TDRが投資できる資金はかなり潤沢になっている。USJの活発な動きを見ながら巻き返しを図るべく、大規模投資に乗り出す計画をぶち上げたのです」

 かくして4月5日、TDLを運営するオリエンタルランドの加賀見俊夫会長、上西京一郎社長らが、新アトラクションの起工式を行った。
 「新開発エリアの目玉としては、現在、大ヒット中のディズニー映画『美女と野獣』の世界を体験できるエリアを設置し、映画の世界にドップリと入り込める仕組み。さらに'14年アカデミー賞の長編アニメ映画賞を受賞した『ベイマックス』の世界を体験できるエリアも新設されるという。アトラクション投資総額は約750億円。さらに、今や27位にまで落ちた顧客満足度(日本生産性本部調査)を挽回すべく、様々な回復策にも相当多額の資金を注ぎ込む方針です」(経済部記者)

 満を持しての新規投資で、再び右肩上がりになれるのか。

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