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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 民主党壊滅の原因

 7月21日に投開票された参議院選挙で、民主党の獲得議席数が17と、改選前の3分の1に激減した。壊滅的敗北と言ってよい。
 なぜ民主党は負けたのか。理由は明らかで、ウソつきと国民から断罪されたからだ。民主党は、自民党と対峙する政権交代可能なリベラル政党として設立された。労働組合の支持を受けたこともそのためだ。
 リベラル政党としては、TPP反対、消費税引き上げ反対、原発再稼働反対、平和憲法堅持というのが素直な政策選択。ところが民主党政権は、まるで逆の政策を打ち出してしまった。しかも、それらは民主党政権末期の野田政権になってから鮮明になったものだ。これでは、リベラル勢力を支持する人たちからの支持が得られるはずがない。

 特に、今回の問題は消費税引き上げだった。そもそも民主党政権が勢力を弱めたきっかけは、消費税だったからだ。3年前の参議院選挙前に、菅直人元首相が突然消費税増税を打ち出した。民主党は国民の信を問うことなしに消費税の引き上げはしないと明言していたのだから、これは明らかに裏切り行為だった。
 その結果、参議院選挙で民主党は大敗し、衆参がねじれ状態に陥った。そこで民主党は反省して消費税増税を撤回すべきだったが、後を継いだ野田総理は、自民、公明と手を組んで、消費税増税法案を成立させてしまった。そのことが、昨年末の衆議院選挙での惨敗の原因になったのだ。
 そして今回の選挙だ。民主党は消費税増税を既定路線として突き進んだ。ところが安倍総理は、「4月から6月のGDP統計などを踏まえて政治判断をする」として、消費税引き上げの態度を明確にしなかったのだ。増税法案を成立させた「共犯」であるにもかかわらず、まるで自民党のほうが消費税引き上げに慎重であるように国民には見えてしまった。民主党が選挙に負けるのは、当然なのだ。

 民主党の細野幹事長は、敗北の原因は自分にあるとして、辞表を提出した。そして海江田代表の辞任を求める声も民主党内には広がっている。
 しかし、民主党の退潮傾向を作りだしたのは、党の政策を右傾化させた民主党右派の人たちだ。具体的には、民主党6人衆と呼ばれる野田佳彦、岡田克也、玄葉光一郎、安住淳、枝野幸男、前原誠司の6人だ。彼らが支持を受けていない証拠は、今回の選挙で野田氏を除く5人の地元選挙区で、議席を失ったことだ。
 だから、民主党を再生しようと思ったら、彼らを党の外に出すことが不可欠なのだ。しかし、彼らは今回の選挙で、表に出なかった。負けが見えている選挙で、先頭を走れば責任を取らされるからだ。

 6人衆が居座りを決めるのは、民主党全盛期に大量に転がり込んできた政治資金があるからかもしれない。だから放っておけば、民主党はいつまでも6人衆支配が続き、浮かび上がれない。そのため、本当に民主党が再生を図ろうと思ったら、一番良いのは、いますぐ憲法草案を作り始めることだ。
 憲法9条を守り、基本的人権を最優先する憲法草案を党として決定すれば、思想の異なる6人衆は出て行かざるを得なくなるだろう。作業を急がなければならない。これまでの体制が続いていたら、民主党は次の選挙で消滅してしまうからだ。

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