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「自動車業界参入」も冗談ではすまされない パナソニック泥沼策の行方

 業績の大幅悪化を背景に、パナソニックの“切り売り”策が止まらない。東京の拠点だった芝公園の本社ビルを売却し、次いで支社として保有していた自社ビル「東京汐留ビル」も約507億円で売却。決算の3月期末を控えると、携帯電話事業、ヘルスケア事業を相次いで売却し、揚げ句にテレビ戦略の中核に据えていたプラズマテレビ事業からの撤退宣言と、まさに“出血大バーゲン”路線を突き進んでいる。これには市場関係者も冷ややかだ。
 「選択と集中といえば聞こえはいいが、実際はとんでもない。パナにとってテレビに代表されるデジタル家電は、命綱ともいうべき事業ですが、プラズマ撤退は『もうデジタル家電は中核事業ではない』ということ。資金を集中すべき対象、すなわち今後の成長・再生を託す切り札が見当たらないからこそ、売れるものは何でも処分して少しでも赤字を埋めようとの、さもしい魂胆に他なりません」

 その程度で驚いてはいけない。一昨年から始めた希望退職者募集では、既に4万人超の社員が“難破船ネズミ”を決め込んだ。しかも「パナの将来を担う優秀な人材から先に辞めている」(OB)のだから深刻だ。

 笑えぬ話がある。津賀一宏社長は今年の1月、米ラスベガスで開かれた国際家電見本市で「将来は自動車メーカーになるかもしれない」と発言したのだ。これは、トヨタと電気自動車向けリチウムイオン電池の開発で提携しているほか、米GMとも通信やカーナビ機能を備えた新たな車載システムの協業を進めていることが背景にある。
 「裏を返せば、去年の6月にドロ船の船長に担ぎ出された津賀社長は、そんな捨て身の戦略以外に将来ビジョンを描けないということ。去年、今年と2年連続で屈辱的な大赤字を垂れ流す以上、出血を止めるためなら手段を問わない事態まで追い込まれたということです」(アナリスト)

 市場からは「パナ本体の身売りの方が高く売れる」との皮肉さえ聞こえる始末。ネズミになれなかった社員にとっては、確かにその方が“マシ”かもしれない。

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