「全日本遊技事業協同組合連合会の発表によれば、最盛期の1995年に全国に18200余あったホールは、この20年で45%減少し、昨年11月末時点で1万店舗を割っています。しかも、現在の警察は大量退職時代を迎え、再雇用先の確保に四苦八苦している。幹部連中は銀行や上場企業の総務部など、代々引き継がれた椅子に座れたりするケースも多いが、一般の警察官たちの行き先は十分ではありません。そこに、ホールの激減というダブル危機を迎えているのです」(警察組織に詳しいライター)
そこで新たな天下り利権として確保したいのが、統合型リゾート施設(IR)整備推進法が成立し、現実味を帯びるカジノ関連先だ。
「ただし、カジノはパチンコのように警察利権にはならない。近く策定されるIR実施法の中には、カジノの規制と監視は内閣府の外局として設けられる『三条委員会』に委ねる、とうたわれているからです。警察はこの機関に協力する連携先の一つにすぎません」(同)
そんな中、昨年12月15日に坂口正芳警察庁長官が「(カジノでは)暴力団排除や風俗環境の保持などの対策を検討する必要がある」と発言し、同発言を受けて産経新聞(1月10日付)は《カジノ解禁、新たなシノギ 暴力団が手ぐすね》と報じた。
「カジノが解禁されれば、高額ギャンブラーの斡旋やヤミ貸金など、暴力団が暗躍できるシノギが数多くあるのは確かですが、それらはあくまで“外郭”の話。ことさらカジノに直接、暴力団の脅威が存在するかのように喧伝することで、『三条委員会』のいずれかに警察関係者をすべり込ませ、『カジノ関連企業には、すべて警察OBを配置すべき』という世論を醸成しようと算段しているのです」(同)
健全化の名の下、警察は自ら“シノギ”を確保しようとしているのだろうか。パチンコ業界が警察官の再就職先にもなってきたのは周知のとおり。つまり、パチンコ店舗が減少していることで、警察OBたちの雇用が「危機」に瀕しているのだ。何としても退職者の再就職先として確保したい。目の前にあるカジノ癒着があまーく口を開いているのだ。指をくわえて見ているはずがない。