「3・11の震源域での地震の回数は明らかに減りました。体で感じる回数は、巨大地震後から1年目は7996回だったのが、2年目に1583回、3年目は1023回。ところが、この震源域のさらに沖合、つまり日本海溝の東側に、震災前の20倍の頻度で地震が発生している地域があることが、気象庁の解析で判明したのです。この地震は、アウターライズ地震と呼ばれ、揺れはともかく津波が心配されます」(サイエンスライター)
実際、昨年10月26日には、同震源域でM7.1のアウターライズ地震が発生している。
琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏が説明する。
「3・11は“逆断層型”で、断層自体を押す力が掛かる状態で地震が発生した。ところが、昨年起こったアウターライズ地震はプレートのごく浅い部分で起こる正断層型。断層を境に両方に引っ張る力が働いたわけです。アウターライズは揺れはさほどではないが、海底が沈んだぶんだけ津波が起こる。今後も三陸沿岸では注意が必要です」
気象庁でも「今後も大きな地震が起こる可能性があるため、揺れや津波に備えてほしい」と呼び掛けており、地震の活動期は今後20〜30年は続くとみられている。
しかし、ここで問題となるのが、岩手・宮城・福島の東北3県に予定されている、長さ400キロに及ぶ巨大防潮堤の建設だ。地元では観光の障害や閉塞感といった理由で反対の声が根強い。
「昔は津波が襲っても時間をかければ、また再び元の砂浜が戻り、それでよかった。しかし今は沿岸に人が大勢住んでいますからね。防潮堤で100%津波が防げるわけではないが、よく話し合うことが必要です」(前出・木村氏)
地震の脅威に翻弄される日々は続く。