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怪談作家 呪淋陀のミステリー紀行:幻の人魚のミイラを追え!その(1) 人魚伝説の謎

 人魚。上半身が人間で下半身が魚の水中に棲息する伝説の生き物。
 西洋の物語に登場する人魚は一般的に若く美しい女性の姿をしている。
 航海者を綺麗な歌声で惹きつけ水中に引きこんだり、船を難破させたりする不吉な存在で描かれている。

 日本でも人魚に関する記録は古くからある。
 伊勢国で漁夫の網にかかった人魚は頭は人間、魚の歯を持ち、顔は猿に似ていた。
 食べてみるとたいへん美味かったという。
 人魚の肉は不老長寿をもたらすと信じられていた。
 人魚の肉を食べたため、娘の姿のまま老いることなく八百歳まで生存したという比丘尼の話。
 八百比丘尼の伝説が有名だ。

 富士山麓にある天照教本社には日本最大最古の人魚のミイラが古くから祀ってある。
 天照教本社は伊勢神宮の分社でれっきとした神社であり決して新興宗教ではない。

 天照教本社の人魚のミイラの由来。
 1400年ほど昔。聖徳太子が琵琶湖を通りかかった時、人魚に呼び止められた。
 「私は漁師でしたが、生前の無益な殺生を続けていた報いで人魚に姿を変えらてしまいました。
 しかし今、太子の法戒を受けて殺生の恐ろしさをしみじみ知りました。
 どうか私の醜い姿を残していただいて、殺生戒を伝えるために末永くこの事実を語り役立てていただきたい」
 そう言い残して、人魚は昇天したという。
 それを聞いて太子は手厚く供養して人魚のミイラを寺に納めた。だが、太子が去った後、寺で種々の異変が起こった。
 不気味に思った寺は別の寺へ人魚のミイラを渡したが、またそこでも怪異が起こったたため遂には人魚の祟りではないかと恐れられた。
 その後も寺々を転々としたが、やがて人魚の霊は鎮められた。
 以来、一世紀余、富士山中の霊気に包まれた天照教本社に安置され、未だに何一つ恐ろしい異変は起こっていないという。

 秋深まる晴天の日。人魚のミイラを拝観するため、富士宮市の天照教本社を訪れた。
 紅葉が綺麗な境内は訪れる者もなくひっそりとしていた。
 人魚のミイラは公に公開していない。
 神社に連絡を取り、秘蔵の人魚のミイラを拝観させていただくことなった。
 早速、人魚のミイラが安置されてある建物へ案内された。
 鍵を開けて中へ入ると、神棚の横に綺麗に刺繍が施された御簾のかかった木箱があった。
 この箱の中に人魚のミイラがある。
 
続く

写真撮影:小出 真

(怪談作家 呪淋陀(じゅりんだ)山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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