その背景を、小泉氏の周辺関係者がこう解説する。
「本人は都知事の椅子に対し、忸怩たる思いと未練がある。2014年の都知事選に反原発を掲げ細川護煕元首相を担ぎ上げ『絶対に勝てる』と自信満々だったが、舛添氏に大差で破れてしまった。その敗北をいつかは見返してやりたいという思いが、相当に強いんです」
前回の都知事選は、猪瀬直樹氏の5000万円借り入れ疑惑での辞任を受け急きょ行われたものだった。有力候補だったのは、自公推薦の舛添氏、弁護士の宇都宮健児氏、そして、小泉氏の推した細川氏、加えて、今年、この都知事選出馬時の公選法違反容疑で東京地検に逮捕された田母神俊雄氏。結果、自公の組織票に支えられた舛添氏が約211万票を獲得して当選を果たし、2位は宇都宮氏で98万票、細川氏は95万票の3位に甘んじた。
「選挙後、小泉氏はしきりに首をひねっていた。細川氏の年齢が行き過ぎていたのか、反原発だけではきつかったか、それとも61万票を取って善戦した田母神氏に食われたか、といろいろ分析していて、納得いかない様子だったのです」(同)
小泉氏は今年5月末、有楽町で講演。「私が生きているうちに原発ゼロを成し遂げたい」と改めて訴えた。当時はオバマ米大統領の広島初訪問が注目を集めていたが、記者団に「核廃絶よりも原発ゼロの方が易しいことだ」と強調。6月上旬にも再稼働した川内原発のある鹿児島県を訪れ講演するなど、精力的に全国を飛び回る日々を送っていた。
小泉氏の周辺関係者は、こうした小泉氏の姿を横目で見ながら、こう断言する。
「前回の都知事選直後、細川さんの労をねぎらいながら小泉さんはこう漏らしたんです。『次は俺が頑張らなければ』と。それは何を意味するのか。原発ゼロ運動か、それとも4年後の都知事選狙いか、原発再稼動を押し進める安倍政権打倒か。そんな中、遠いと思っていた4年後の都知事選が2年で転がり込んできた。小泉さんに連絡したら出馬するともしないとも言わなかったが、ひと言『チャンスだな』とだけ言いました。私は今回、小泉さんが『天の采配だ』とばかり出馬すると確信していますよ」