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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 仲井真知事が内閣を倒す?

 沖縄県知事選挙は11月16日に投開票される予定だが、現職の仲井真弘多知事が3選を目指す意向を固めた模様だ。7月18日の定例記者会見で仲井真知事は、自身の出馬について、「しきい値の天井まで来ている気がする」などと述べ、出馬への強い意欲を示した。

 自民党沖縄県連は仲井真知事への3選出馬を要請する方針を固めており、それに応える形で、近々、仲井真知事が正式に出馬表明をする見通しになっている。この事態に頭を抱えているのが自民党本部だ。仲井真知事が出馬すれば、米軍普天間基地の名護市辺野古への移転問題が、争点として再燃してしまうからだ。
 県知事選で仲井真知事の最大のライバルになると目されているのが、普天間基地の県内移転に反対する那覇市長の翁長雄志氏だ。もし、仲井真氏との一騎打ちになったら、県知事選が辺野古移設の是非を問う選挙にならざるを得なくなるのだ。

 すでに今年1月19日に投開票された名護市長選挙で、辺野古移転に反対する稲嶺進市長が、自民党推薦で仲井真知事も支持を表明した末松文信氏を破り、再選を果たしている。11月の沖縄県知事選挙で翁長氏が勝利すれば、名護市と沖縄県知事の双方が、辺野古移転に反対するという異常事態が発生する。そうなれば、米国と約束している辺野古移転が大幅に遅れることになるのは確実だ。
 自民党本部として理想的なシナリオは、辺野古移転を既成事実として県知事選の争点にせず、辺野古移転の責任をすべて仲井真知事に押しつけてしまうことだ。仲井真知事は、前回の知事選で、普天間基地の県内移転に反対する公約を掲げて当選した。ところが、昨年暮れに国から要請のあった辺野古基地の滑走路建設に向けての埋め立て工事を許可してしまった。
 仲井真知事は認めていないが、政府が用意した莫大な沖縄振興予算と引き替えに、方針を変えたのだろう。それは、“高度な政治判断”だったのだと思われるが、問題はそれが沖縄県民の目にどのように映ったのかということだ。

 私は、11月の県知事選挙の結果、仲井真知事が敗れて県知事と名護市長がともに辺野古移転に反対する形になる可能性が非常に高いと考えている。安倍政権は、ただでさえ北朝鮮との“単独外交”を進めていることで、米国から睨まれている。それに加えて、辺野古移転が暗礁に乗り上げれば、安倍内閣は一気に危機に陥ってしまうだろう。
 しかし、ほとんど勝ち目のない3度目の選挙に仲井真知事は、なぜ挑戦しようとしているのだろうか。私は、仲井真知事の政府への復讐なのではないかと考えている。
 辺野古沖の埋め立てを承認したことを発表する記者会見で、仲井真知事は記者から吊るし上げにあった。そこまでして、国の安全保障と沖縄経済の発展のために尽くしたのに、結局政府は、辺野古基地建設の汚名を仲井真知事に押しつけて、使い捨てにしようとしている。そのことを我慢できなかったのかもしれない。

 自民党本部が沖縄県知事選挙で誰を支持するのかは、まだ明らかになっていない。ただ、誰が候補者になるにしても自民党に勝ち目はないだろう。安倍内閣が窮地に追い込まれるのは、確実なのだ。

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