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8億円熊手が招く 最終コーナーを回った橋下維新と公明党「連立交代」デッドヒート(1)

 みんなの党の渡辺喜美代表が、突如巻き起こした「8億円熊手騒動」。これが原因で、政界では思わぬ争奪戦が勃発している。
 自民党と連立を組む公明党、そして自民党に擦り寄り、政権入りを画策し始めた日本維新の会の間で、連立交代を巡る激しい攻防戦が演じられだしたのだ。
 政治部記者がこう話す。
 「端緒となったのは、話題の『熊手騒動』です。渡辺はDHCの会長から借りた計8億円の使い道を『熊手を買った』などと嘯いたが、'12年の衆院選時に有力候補らの供託金として使った疑惑が急浮上しており、代表辞任を表明(4月7日)した。ところが、これを好機と見たのが日本維新の会の橋下徹共同代表。みんなの党が転んだことで、公明党の代わりに連立入りする党として名乗りを上げ始めたのです」

 ちなみに、この騒動勃発の根底には、ここ最近の安倍政権と公明党の不仲ぶりが横たわっている。ご存じの通り、憲法解釈を巡る集団的自衛権の行使容認を悲願とする安倍晋三首相は、今国会会期内(6月)の閣議決定を目指しているが、これに公明党が猛反発。その協議は「連立離脱」も囁かれるほどの紛糾ぶりを見せているのだ。
 「そのため永田町の一部では、安倍首相が集団的自衛権の行使容認に賛成し始めた渡辺を6月の内閣改造で閣僚に抜擢。同時にみんなの党と連立し、法案を通過させる方策が注目されていたのです。公明党との連立解消にのっとった方策だが、みんなの党が火だるまとなったことで、橋下氏がこの座を狙って強硬な連立交代劇を仕掛けだしたのです」(同)

 稀代の策略家としても知られる橋下氏の動きは、電光石火ともいえるものだった。4月2日に国会内で党安全保障調査会を開催すると、集団的自衛権を限定容認。(1)米国など親密な国が攻撃された場合、(2)米国などへの攻撃が日本の平和と安全に重大な支障を及ぼす場合など6項目の条件を取り決め、安倍政権に熱烈な擦り寄りを見せたのである。
 「しかも、維新がまとめた党見解には、『(集団的自衛権の行使は)地球の裏側まで行くものではなく、アジア太平洋地域、日本のエネルギー輸入に必要な海上交通路を護る範疇』などとする援護射撃としか思えない文言が並んでいた。つまり、橋下は暗に“公明党と手を切り、維新を与党入りさせれば、集団的自衛権の行使容認が成立する”“維新議員を閣僚入りさせろ!”と手ぐすね引いているのです」(自民党関係者)

 橋下氏がこうした公明党の連立脱落をけしかけだした背景には、3月に大阪市で行われた出直し市長選が絡んでいるとみられている。
 大阪都構想の是非を争点とした同市長選では、橋下氏が再選されたものの、投票率が約24%と史上最低ラインで、日本維新の会の求心力の低下が浮き彫りとなったからだ。
 「そのため、橋下代表は維新を再び時代の寵児とするために、みんなの党以上の賛成論をまとめ上げた。みんなの党が渡辺代表辞任で解党的出直しを迫られる中、自らの求心力を高めようと動き出したのです」(日本維新の会関係者)

 ただ、こうした動きにはさらなる背景も絡んでいるという。それが橋下氏が公明党に抱く、恐ろしき“私怨”なのだ。
 在阪の日本維新の会担当記者がその経緯を解説する。
 「公明党と橋下氏の骨肉の争いが表面化したのは、今年2月。橋下氏の看板政策である大阪都構想の行政区割り案に公明党が反対し、その裏切りが露呈したのです。橋下氏が明かしたところによれば、公明党は一昨年末の衆院選で大阪、兵庫などの6選挙区に候補者を擁立しない協力を維新側に依頼。見返りに大阪都構想に賛成する密約を結んだという。ところが、その後公明党が造反。出直し市長選はこれが原因で実施されたが、橋下氏はその恨みを忘れておらず、宣戦布告したというわけなのです」

 要は、恨み骨髄の公明党を葬り去り、日本維新の会を政界中枢に押し込む“一石二鳥”の策略を推進し始めたのだが、実はこの戦略は今では安倍首相の熱い注目を集めているのだ。
 前出の政治部記者がこう語る。
 「というのも、ここにきて安倍政権は公明党の反対以上の問題を抱え、窮地に陥りだしているからです。消費税問題では今後、国民批判が噴出するのは明らか。それと相まって、党内には“安倍降ろし”を画策する議員らが蠢きだしている。ただ、中でも危惧されているのは集団的自衛権行使容認に対する国民反発で、そのシグナルがここにきて出始めているのです」

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