ブロッコリーは1998年頃からオフィシャルショップ“ゲーマーズ”の店舗展開と平行して、キャラクタービジネスも積極的に行い、『デ・ジ・キャラット』や『ギャラクシーエンジェル』はアニメ、ゲーム、書籍と多方面に展開。それら作品がヒットし、2001年にはJASDAQ上場果たすなど、いわいるオタ向けアニメの版権ビジネスでは最も成功した企業だった。上場以降は過度な事業展開などが祟り、他企業の傘下となり、木谷氏も経営から退くことになったが、今回自身が2007年に設立したブシロードで再び本格的にメディアミックスでの版権ビジネス展開を再開する。
ブロッコリー時代は版権負担の掛からないオリジナルキャラクターを有効に使用し、爆発的な利益をあげていたが、今回はどうだろうか。『探偵オペラ ミルキィホームズ』の放送される今年は、『デ・ジ・キャラット』がヒットした98年とは大きく状況が違う。原作モノアニメの台頭により00年代の後半頃からオリジナルアニメ、特にオタ向けの作品による版権収入神話は崩壊し、キャッチーで記号的なキャラだけで売ることは非常に難しくなっている。それに同じ美少女探偵モノというと、コナミが製作主導した『セイントオクトーバー』のあまりパッとしない成績も記憶に新しい。好調な自社のカードブランド、ヴァイスシュバルツでの展開などの強みがあるとはいえ、多くの深夜アニメが氾濫する昨今、思うようなヒットにならないのではと思ってしまう。
とはいえ、オリジナルアニメの版権展開で一時代を築いた木谷氏主導の作品とあって、もしかすると…と期待も高まる。最近減少傾向のオリジナルアニメに再び光を当ててくれることを願ってやまない。オリジナルアニメは、原作モノとは違い展開の読めない面白さがある。ぜひ、そのワクワク感を再び深夜アニメに取り戻して欲しい。(斎藤雅道)