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議論は尽きた!? タイブレーク制導入が高校野球を変える(1)

 日本高校野球連盟(以下=高野連)の技術・振興委員会が開かれた(10月20日)。同委員会は『タイブレーク制導入の是非』についても触れ、来春の都道府県大会と地区大会で、テスト導入することを決めた。実際に走者を置くイニング数など詳細、並びに正式な決定手続きは11月の理事会になるが、「もう、変更はされない」と言っていいだろう。高野連は議論を尽くしたからである。

 そもそも、タイブレーク制導入の是非が議案提示された理由は、球児たちのケガを防ぐ新たな防止策が必要となったため。これまで、高野連もあらゆる対策を講じてきた。連投を防ぐため、大会期間中に休養日を設けるなどしてきたが、しかし、雨天順延や、今夏の軟式大会で中京(東海・岐阜)と崇徳(西中国・広島)が延長50回の死闘を繰り広げたように、サスペンデッド(一時停止試合)にも限界が見えてきた。そこで浮上してきたのが『タイブレーク制導入案』だった。
 繰り返しになるが、高野連は全国加盟校の指導者にアンケート調査を行った(硬式野球4030校/回答率98%)。<望ましい球児の健康管理方法は?>の四択回答で、最大投票があったのは、『タイブレーク制導入』(49.7%)。委員会終了後の説明によれば、「投球やイニング数に制限を設ける方法の是非も、改めて話し合われた」という。
 だが、投球数やイニング数に制限を設けると、作戦面に影響が出る。公立校など部員数の少ない学校では「投手のできる球児が1人しかいない」なんてことも珍しくない。アンケート結果を開示したとき、振興委員会の相沢孝行委員長は「(導入の)賛成が半分しかないとも、半分もあるとも、受け止め方はいろいろだが…」と語っていた。都高野連の武井克時理事長も、「大きな大会(甲子園)につながらない春の大会でやってみようということに」と、アンケート開示時点で語っていた。今回の議論が“結論ありき”だったとは言わない。アンケート開示時点で予測された範疇から出られなかったのだろう。

 これもアンケート結果を開示したときのコメントだが、竹中雅彦・事務局長は導入賛成の49.7%について、「消極的な賛成」と称し、「世界的な流れなら仕方ない」「他に方法がないのなら」など、回答者の声も説明していた。
 世界的な流れ−−。
 改めて『公認野球規則』(発行者・NPB)を見直してみたが、タイブレーク制のことは記されていなかった。大会主催者がそのルールを管理する“勝敗システム”なのだろう。だが、日本の野球ファンが『世界的な流れ』と聞いて、真っ先に思いつくタイブレーク制は、2008年北京五輪だろう。野球・日本代表チームは、タイブレーク制で米国に敗れている(一次リーグ)。
 タイブレーク制の導入は五輪直前に決定されたもので、星野仙一・代表監督(当時)が「何故、今ごろになって!?」と怒りをあらわにしていたのも思い出される。

 代表チームは<延長11回、無死一・二塁>という、タイブレーク制突入を想定した守備練習をやっていなかったそうだ。
 国際試合は点が入りにくい。牽制やバントシフトを徹底して相手の攻撃に備えなければ、大量失点にも繋がり兼ねない。準備不足が北京五輪の敗因だが、タイブレーク制に適応するためには、通常の守備練習とは違う準備も必要なようである。テスト導入とはいえ、タイブレーク制がトーナメント形式の高校野球に与える影響は少なくないようだ。(スポーツライター・美山和也)

※星野仙一氏のコメントは2008年8月21日付の各スポーツ新聞を参考にいたしました。

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