夏の参院選を前に、テレビ界がネット放送と組む動きが出てきた。
その先陣をきったのが日本テレビ。『ニコニコ動画』を運営する『ドワンゴ』の株をエイベックス・グループ・ホールディングスから引き受けた。
エイベックスは保有株4万900株(20.04%)のうち、1万6326株(8%)を38億円で売りに出した。
日テレはそのうち4%分を取得。残る4%分は既存株主3位の角川グループホールディングスが購入し、2位に浮上している。
「買い入れ話をもちかけたのは日テレの方です。『ドワンゴ』も最近は有利子負債が増えており、財務内容を改善しようという狙いがあった」(業界事情通)
ただ『ドワンゴ』の業績が悪化しているわけではない。'13年9月期決算は、売り上げ375億円、経常利益20億円、最終純益23億円を見込んでおり、上向いている。
日テレがこの媒体に注目したのは、昨年11月の衆院党首討論会での報道。地上波やBSではできないキメの細かさが話題を集めた。現在、会員数は3000万人を突破し、政治家にとっては情報発信の場としても無視できない状況だ。さらに影響力は強まるとみられている。
そのため政治家連中は、イベントに積極的に参加しようとしている。
自民、民主、維新の会、共産の4党は4月27、28の両日、『ニコニコ動画』が幕張メッセ(千葉市)で開催する『ニコニコ超会議2』に参加する。2日間で若年層中心の約10万人が参加する有名イベントだ。
4党はそれぞれのブースで幹部クラスのインタビューや座談会をおこない、ネットで生中継する。自民党は会場に街宣車を持ち込み、幹部による本番さながらの“街頭演説”も計画しているという。
日テレが夏の参院選挙で地上波と『ニコ動』をいかに使い分けて高視聴率をモノにするのか。関係者は期待と不安を抱きながら見守っている。