FNNと産経新聞が行った調査によれば、今年1月時点での集団的自衛権行使容認に対する賛成派は43.9%。反対派は35.7%だったが、これが3月末には賛成派が42.4%、対する反対派が41.5%と急速に拮抗しだしているのだ。
「そのため今や四面楚歌に陥りだした安倍首相は、自らも限定的容認を狙っていた経緯もあり、この維新の提案に瞠目。集団的自衛権の行使容認の巻き返しを図りだしている。そこには維新との連立、内閣改造時の同党議員の閣僚入りまでを視野に入れ始めているのです」(同)
もっとも、こうした安倍政権の動きは、すでに公明党側も織り込み済み。水面下では熾烈な対抗策を展開し始めているのだ。
「安倍首相は、維新との連立を模索する一方で、既定路線である公明党の説得を高村正彦副総裁に指示。4月3日に高村氏が都内のホテルで、山口那津男代表ら公明党幹部らと極秘会談を行ったのです。ところが、この会談を多くのマスコミに報じられてしまった。公明党側がマスコミにリークしたともっぱらで、国民批判を煽り、今国会での閣議決定を先延ばしにする方策に打って出たとみられているのです」(自民党議員)
また、別の政治部記者がこう語る。
「公明党の本音は、『連立離脱に仕向けるならやってみろ!』というもの。というのも、来年4月には統一地方選があり、公明党の選挙協力がなければ問題山積みの安倍政権は大敗。その後9月の自民党総裁選で地方議員らの不満が爆発し、政権の命脈が尽きる可能性も高いからです。つまり、安倍政権の喉仏に匕首を突きつけ続けて議論を紛糾させれば、集団的自衛権の行使容認を店晒しにでき、連立を離脱する必要もなくなるとみているのです」
要は、水面下でギリギリの攻防戦を仕掛けているのだが、実はその公明党にはここにきてある疑惑が浮上しているという。
語るのは前出の政治部記者だ。
「実は、永田町ではなぜ公明党が連立離脱の瀬戸際に追い込まれてまで、集団的自衛権問題に反発し続けるのかが議論されている。支持母体の創価学会が反発しているといわれるが、注目されているのは中国の存在なのです。ご存じの通り、池田大作名誉会長は中国と太いパイプを持っており、昨年訪中した公明党の山口代表は、安倍政権で唯一、習近平総書記と会談。また、昨夏には創価学会の谷川佳樹副会長が訪中し、中国政府高官から日中関係の改善を持ち掛けられたと評判です。そのため、今回の反発には日本の右傾化、日米関係に楔を打ち込みたい中国の思惑が透けて見える、との話もあるのです」
紛糾する集団的自衛権の行使容認問題の裏に、隣国の思惑が存在するかは今のところ不明だが、今後、連立交代劇が熾烈さを増すことだけは確実だ。