「ホンダは東京オリンピックが開催された1964年にF1に初参戦して以来、撤退と参戦を繰り返しており、'15年の復帰となれば4度目の参戦になる。同社は金融危機後の2008年には『年間数百億円のコストがかかる』ことなどを理由に撤退した。しかし、'14年からルールが変更となり、従来よりも排気量の少ない1600ccのV型6気筒エンジン搭載が義務付けられ、環境性能を重視した技術がF1に転用しやすくなったのを追い風に、ここへ来てホンダの復帰情報が駆け巡っているのです」(モーター誌記者)
ところが、そんな期待に水を差しかねないのが同社を取り巻く環境だ。一昨年の東日本大震災やタイの洪水などの反動もあって、急激な円安にもかかわらず、好調な北米市場を除けば国内、中国などでも苦戦が続いている。
「とりわけ目が離せないのが、尖閣問題を機に反日運動が高まる中国市場。3月半ばには広東省の部品子会社で、賃上げ額を不満とする従業員約100人によるストライキが発生、労組の仲介で収束したが、この工場では2年前にも大規模なストライキが発生し、約3万台の生産が遅れています」(経済誌記者)
洪水被害で壊滅的被害に遭ったタイもまた然り。今年の2月に新工場の建設を発表したが、この土地は「再び洪水被害に遭いかねない場所。それも現地の事業パートナーの言いなりで選んだ」(関係者)のだから世話がない。
「業績の安定がなければF1は続けられない。資金力で勝るトヨタが二の足を踏んでいる中、ホンダが4度目の参戦に踏み切った揚げ句、またゾロ撤退ではそれこそ天下の笑いものです」(証券アナリスト)
参戦、撤退の“常習犯”だけに、どうなることか。