再エネで発電した電力を買い取る「固定価格買い取り制度」は2012年7月、業者の主張を丸呑みして1kW時当たり42円という破格値でスタートした。価格は毎年見直し、'13年度は1割ほど下げたが、それでも世界最高水準とあって一攫千金を夢見た中国など海外勢の日本上陸ラッシュが止まらず、太陽光バブルの様相を呈した。それに輪をかけるのが、アウトローの暗躍だ。
実は太陽光発電の認可に際し、政府は事業開始の時期を定めなかった。これを逆手にとって太陽光パネルそのものが値下がりするのを待つか、海外で大幅に値崩れしたパネルを調達すればボロ儲けができると考えた面々が続出。初年度に認可を受けた業者のうち実際に事業を始めたのは1割強にすぎなかった。その裏では、発電能力のない業者から権利を買い集め、第三者へ転売することで利ざやを稼ぐブローカーの存在さえ指摘されている。まさに魑魅魍魎の世界だ。
「これに危機感を募らせた経産省は昨年夏ごろから詳細な実態調査に着手、悪質な場合は認可の取り消しも辞さない構えを打ち出しました。その調査がまとまるのが、奇しくも都知事選の真っただ中。クリーンなイメージの太陽光発電の暗部が次々と炙り出されれば、原発推進派の気勢が上がるのは間違いないでしょう」(経済記者)
再エネには風力、水力、地熱などもあるが、やはり太陽光は参入業者の絶対数や発電規模で群を抜く。経産省による暗部摘出のタイミングによっては、都知事候補の情勢がガラッと変わるかもしれない。