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孫正義社長も落胆… 太陽光発電買い取り価格引き下げは 原発復活への“強権発動”か!?(1)

 1月21日、茂木敏充経済産業相が日本記者クラブでの講演で「太陽光発電の買い取り価格を今年4月から引き下げる」方針を明らかにした。
 昨年7月にスタートした再生可能エネルギーの全量買い取り制度で、太陽光の買い取り価格は1キロワット時当たり42円と定められたが、茂木経産相は「太陽光の設備価格は相当程度下がっており、30円台後半にできるのではないか」と踏み込んだのだ(※地熱発電や風力発電などは導入量が少ないことから買い取り価格を据え置く方針)。

 確かに、太陽光発電の建設コストは10キロワット以上の大規模発電の場合、昨年7〜9月は1キロワット当たり32万5000円だったが、10月からは28万円に下がった。この間、住宅用も46万6000円から42万7000円に下がっている。これは、太陽光パネルの価格が下落したことが最大の要因である。
 太陽光の買い取り価格は電気料金に上乗せされる(毎月300キロワットを使用する標準的な家庭の場合、現状月87円を負担している)ため、新年度からの買い取り価格が引き下げられれば負担は軽減する。しかし、もともと「脱原発」の目玉政策であるだけに、さらなる再生エネルギーの普及を推し進めれば、電気料金値上げの可能性はまだまだあるのだ。
 「日本の電源構成に占める再生エネルギーの比率は、昨年末時点で1%にすぎず、発電設備にしても144万キロワットと、まだ大型原発の1.5基分にとどまっています。今後、原発数十基分を太陽光でカバーしようとすれば、いくら買い取り価格が下がっても、消費者=国民の負担は年々重くなっていくはずです」(経済誌記者)

 実際、日本が再生エネ導入の手本にしたドイツでは、2000年の導入時に比べて国民負担が2倍近くも膨らんだことから、「脱原発は失敗だった」と指摘されている。
 そのドイツに追いつくべく、民主党政権下の日本は昨年“バカ高”の非難を承知で太陽光の買い取り価格を42円に決めたのだ。しかも、その価格は20年間(住宅用は10年間)にわたって固定されるというのがミソだった。
 「つまり、今年度中に稼働を開始した太陽光発電設備については、42円というバカ高い値段で20年間も買い取り続けてもらえるわけです」(前出の記者)

 これを「千載一遇のチャンス」と捉え、自ら“ソーラーバブル”に踊ったのが、ソフトバンクの孫正義社長や京セラの稲盛和夫名誉会長など、当時の民主党政権と極めて親密な面々だった。
 今でも語り草になっているのは、昨年3月に買い取り価格や期間を決める経済産業省の調達価格等算定委員会に出席したソフトバンクの孫正義社長が、こう熱弁を振るったことだ。
 「買い取り価格が1キロワット時当たり40円を下回ると、かなり苦しい。メガソーラーの建設候補地は二百数十カ所あるが、仮に買い取り価格が20年という前提で試算すると、40円では9割近くを見送らざるを得ない」

 当時の政府は、孫社長のこの“ハッタリ”にひれ伏したのである。

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